• "子ども家庭総合支援拠点"(/)
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  1. 天理市議会 2020-12-01
    12月15日-03号


    取得元: 天理市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-29
    令和 2年 12月 定例会(第4回)      令和二年 第四回天理市議会定例会会議録(第三号)---------------------------------------  令和二年十二月十五日(火曜日) 午前九時三十分 開会---------------------------------------議事日程(第三号)一 日程  日程第一 一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり---------------------------------------出席議員(十五名)                  一番   仲西 敏議員                  二番   石津雅恵議員                  三番   西崎圭介議員                  四番   大橋基之議員                  五番   寺井正則議員                  六番   鳥山淳一議員                  七番   内田智之議員                  八番   今西康世議員                  九番   榎堀秀樹議員                  十番   市本貴志議員                 十一番   岡部哲雄議員                 十二番    欠員                 十三番   荻原文明議員                 十四番   山田哲生議員                 十五番   東田匡弘議員                 十六番   加藤嘉久次議員---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のための出席者              市長       並河 健              副市長      藤田俊史              教育長      森継 隆              市長公室長    岡本匡史              総務部長     木村昌訓              くらし文化部長  吉川尚光              危機管理監    中本浩司              健康福祉部長   加藤道徳              環境経済部長   東  博              建設部長     岡林 功              教育委員会                       青木 仁              事務局長              監査委員                       山村結紀子              事務局長              会計管理者    松原眞紀子              上下水道局長   岩田全喜議会事務局職員ほか出席者              事務局長     藪内康裕              事務局次長    松原茂幸              事務局次長    奥田 彰              事務局係長    青木一朗              書記       上田泰司---------------------------------------                      午前十時零分 開議 ○議長(大橋基之議長) 休会前に引き続き会議をいたします。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議長) これより日程に入ります。 日程第一、一般質問を行います。質問時間は、答弁を含め六十分以内となっておりますので、御了承願います。質問通告が来ておりますので、順次発言を許します。 まず、代表質問を行います。 三番、西崎圭介議員。     〔三番 西崎圭介議員 登壇〕 ◆三番(西崎圭介議員) 議長の許しをいただきましたので、会派令和の会を代表しまして、一問一答方式にて代表質問の場に立たせていただきます。 ここへ来て、新型コロナウイルスがさらに猛威を振るい始め、本市においても大きな影響を及ぼしているところでありますが、関係各位におかれましても様々に御尽力をいただき、とりわけ医療従事者の皆様には大変な御負担をいただきながら、私たちの安心と安全のために日夜働いていただいております。改めて医療従事者の皆様に敬意と感謝を申し上げ、そして何よりも感染者の方々にお見舞いを申し上げ、事態の収束を心よりお祈りいたします。 さて、昨今では、国の方でもデジタル改革に向けた動きが活発化し、二〇二一年にはデジタル庁が創設される見込みになっております。そして先日、本市においても「デジタル市役所」の実現を目指す方針が発表され、市役所における窓口業務のデジタル化が進められる方向性が示されました。奈良県内において、いち早くデジタル化に向けた具体的かつ明確な内容が示されたことは非常に歓迎すべきことだと思います。今後も引き続き、市民の皆様のためのデジタル化を進めていただき、本市が県内における先進的なデジタル化のモデルケースとなっていくことを期待しております。 行政におけるデジタル化がもたらすメリットは非常に大きく、市民の皆様の利便性が高まるのはもちろんのこと、今後の本市の発展におきましても非常に重要な分野の一つであると考えられます。そこでまずは、市役所としてこれからどのような形でデジタル化に取り組んでいかれるのかという点についてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 西崎議員の御質問にお答えさせていただきます。 政府におかれては二〇二一年秋頃にデジタル庁新設を予定され、準備をされているところでございまして、本市においても、現在抱える業務全般の課題に対応し、将来にわたり持続可能な組織運営を目指しまして、効果的・効率的かつ機能的な組織としていくために、十二月一日付でデジタル市役所推進室を設置いたしました。市役所の窓口業務をはじめ、デジタル化オンライン化を進め、アフターコロナウイズコロナ対策も考慮し、来庁しなくてもいい市役所、また、受付後の待ち時間を含めまして市民負担を最小化した市役所を目指していきたいと考えております。 組織の位置づけとしては、総務部情報政策課内に室として設置いたしまして、職員は室長と係長を配置し、庁内のデジタル化の横断的な対応を行う総括部署としてまいりますが、もちろん私自身もこのデジタル化に関しては陣頭指揮を執っていきたいと考えております。市民の皆様の利便性向上と業務の効率化、職員の働き方改革の両方を図っていくために今後準備を進めていくとともに、国が示される指針の動向等にもしっかりと注視し、速やかに対応していきたいと考えています。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) 市長、ありがとうございます。いま市長がおっしゃられました「来庁しなくてもいい市役所」、また「待ち時間が少ない市役所」を目指すという方向性については、デジタル化の推進によって市民の皆様の利便性を高め、市役所業務の効率化を目指すのみならず、市役所における人と人との接触の機会を減らし、また滞在時間の短縮によって市役所内が密状態になる頻度を下げることにもなり、感染予防対策にもつながるわけですから、今後の市役所の在り方として望ましい姿であると思います。 そこで、次に、今回新たに設置されますデジタル市役所推進室の業務についてお伺いしたいのでありますが、同時にデジタル化を進める上で生じるであろう課題についても併せてお伺いしたいと思います。行政がデジタル化を進めようとするときには、多くの場合、次の二つの課題についての議論がしばしば起こります。 一つ目は、デジタル化の波に取り残されてしまう方々がおられるのではないかという問題です。デジタルを得意とされない方々、またはデジタルを全く活用されない方々が不利益を被るのではないかという不安に対してどのような対策を講じていかれるかについてお聞かせいただきたいと思います。 そして二つ目の課題は、セキュリティーに関する問題です。デジタル化を進める際には、個人情報の漏えいなどによってプライバシーが脅かされる危険性を排除していく必要がありますが、どのようにして市民の皆様の大切な個人情報をお守りしていくのかという点については多くの関心が寄せられる課題であると思います。そうしたデジタル化における課題への対応を含めて、このたび設置されるデジタル市役所推進室においてどのような業務が行われるのか。具体的にお答えいただきたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 本市におけるデジタル化の第一歩といたしましては、来年度末をめどに窓口業務をはじめとした行政手続のデジタル化を進めていくわけでございます。政府におかれましても、デジタル庁発足に向けて関連法案が間もなく通常国会に提出されるということでありますが、本市の施策に向けて、この推進室は調査、総合企画・総合調整の業務を行っていくことになります。 行政手続のデジタル化あるいはオンライン化のシステムを導入することによりまして、コロナ禍の中で市民の来庁する頻度や滞在時間を減らすことができます。また、窓口業務の効率化や行政サービスの向上に向けても、これによって取り組んでいけると考えております。 具体的には、二つの「包括性」がキーワードだと思っておりまして、まず一つ目の「包括性」は、全ての市民の皆様に対するサービス向上を図っていくこと。マイナンバーカード所持の有無にかかわらず、全ての皆様にとって利便性の高い窓口業務全般デジタル化を目指していきたい。その中で、いま議員から御指摘もありましたとおり、これまでどおりの手書きで、あるいは紙で申請するのがよいという方、あるいは高齢者や障害者の方の中に急速なデジタル化に不安を覚えられる方もいらっしゃると思います。その皆さんについては窓口でタブレット入力をできるだけでなく、あるいは紙で書かれた申請書を、AI‐OCRという技術を使いまして、これはカメラで、手書きされたものをデジタルで読み込むということですが、こちらが受け取って処理する段階でデータ化するということも可能でございます。そのデータを各手続関係課と共有することにより必要事項を何度も書かなくてもいいというような形で、市役所に来庁された場合でも待ち時間を大幅に短縮することができると考えています。 デジタル化によって市役所の行政サービスの質が下がったと言われることがないよう、きめ細やかな窓口業務のレベルを維持することはもちろんでありますし、これまで以上に誰もが参画でき、包括性、多様性のある市民サービスができるように努め、「誰も取り残さないデジタル化」を目指していきたいと思っております。 二つ目の「包括性」は、個別の申請書だけをデジタル化するのではなく、様々な申請にまたがる形で実施していこうということであります。これらの取組が業務の効率化につながりまして、そして職員が市民の皆様と対面をしてやっていくことが必要なサービス、そちらに出てきた余力を充てていくことによって、デジタル化はむしろこれまで以上にきめ細やかな対応が可能になるものだと考えております。 そして、このたびの行政手続のデジタル化につきましては、現在NTT西日本様と「ICTを活用したまちづくりに関する連携協定」を締結しておりまして、その知見・ノウハウを活かした提案をいただきながら、そして、住民情報系(基幹系)のシステム開発業者であります紀陽情報システム様とも三者で連携して取り組んでいるところでございまして、取り扱うデータは住民情報で、議員御指摘のとおり非常に機密の保全性が高いものでございますので、地方自治体の総合行政ネットワークでありますLG‐WAN回線、あるいは閉域網の専用回線を使いまして、データ連携にはセキュリティーゲートウェイなどのセキュリティーシステムを通してしか行わないというような形でセキュリティー対策には万全を尽くしていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 西崎委員。 ◆三番(西崎圭介議員) ありがとうございます。特に前半でおっしゃられました、これまでどおり窓口業務において手書きでも対応しながらデジタル化も進めていかれるということでありまして、「誰も取り残さないデジタル化」を実現できるとすれば、それはまさに理想的なデジタル化の方向性であると思います。全ての市民の皆様にとってメリットがあるデジタル化をぜひとも目指していただきたいと思います。 また、セキュリティーに関してですが、既に様々なデータでも示されておりますが、実際のところは操作ミスなどのヒューマンエラーを含む内的要因が情報漏えいの原因の多くを占めているという実情もあります。強固なセキュリティーシステムの構築とともに、またそれ以上に人による失敗が起こらないように、デジタル業務の開始までに万全の体制を整えていただくことをお願いいたします。 続きまして、本市における今後のデジタル化の方針についてもお伺いしたいと思います。 まずは、現在掲げている窓口業務のデジタル化をしっかりと間違いのないように進めていただくことを前提としながらも、本市の今後の発展のために、ほかの様々な分野でのデジタル化についても優先順位をしっかりと見極めながら順次進めていただきたいものと考えております。 デジタル化に関しては要望したいことがたくさんありまして、たとえば市役所で無料Wi‐Fiを使えるようにしていただきたいとも思いますし、将来的には公共施設のみならず市内のあちこちでWi‐Fiが使えるようになることが理想だと思います。また、公共料金や税金等の支払いのキャッシュレス化市役所業務全般におけるペーパーレス化、印鑑の電子化または廃止、会議のオンライン化リモートワークの推進、そしてファックスなどの旧式の連絡手段の見直しなどもぜひとも検討していただきたいですし、さらには、打合せや会議などにおいて電子機器の持込みを自由化し、パソコンやタブレットでメモを取ったり、その場でインターネット検索ができるような、そういった体制づくりも進めていくべきだと思います。 行政によるデジタル化の先にあるのは、利便性の向上や業務の効率化、感染予防への対策だけではありません。たとえば、ペーパーレス化の推進は環境を守るエコ活動や持続可能な十七の開発目標を掲げたSDGsの推進にもつながりますし、本市が以前より推進していますテレワークをさらに充実させることは、本市への移住促進や交流人口の増加につながる可能性もあります。また近年では、コンピュータゲームスポーツ競技として捉えるeスポーツの大会やイベントが本市でも盛んに開催されるようになり、スポーツやエンターテイメントといった分野でもデジタルを有効活用していける状況になっております。さらには、教育の分野にもデジタルを積極的に導入することによって、地方からでも都市部や世界とつながることがより可能になり、子どもたちの夢を大きく膨らませていける可能性もあります。 本市の発展と活性化のためにデジタルの力を大いに活用していくべきと考えますが、今後の本市のデジタル化の方針についてお伺いできればと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) デジタル化は手段であって目的ではないと思っておりますけれども、やはりそこには、いま議員から御指摘をいただきましたとおり、SDGs、あるいはテレワークの推進、移住・定住促進、また新しいエンターテインメントの形等々の様々な政策に活用していける、社会の在り方全体を今後変えていくものだと思っております。教育分野では、特にコロナ禍の中でGIGAスクール構想が一気に進みまして、本市においても一人一台のタブレット導入をやっておりますし、また、芸術文化活動では、リアルの展示会にバーチャル上でも展覧会を見ていただけるというような組み合わせた施策をやっておりまして、今後さらにそういった幅を増やしていきたいと思っております。 また、Wi‐Fiにつきましては、無料のもので天理駅の南団体待合所や産業振興館で導入しておるところでございまして、できるだけ今後また広げていけたらと思っておりますのと、オンライン会議システムについては今年度から積極的に活用しておりまして、私もほかの市町村の皆さん、あるいは国の関係の方とやるときには非常に重宝しておりますけれども、タブレットを含め、現在でも多分、自由にお使いいただいて何ら差し支えないような状況にはなっているかなと思っております。RPAやテレワークについてもこれまでも重視をしてきたところでございまして、積極的に進めてまいります。そして、ペーパーレス化の推進に向けて、公文書や電子決裁システム、税金等の支払いのキャッシュレス化、統合型のGISの導入、こういったことについても引き続き積極的に進めていき、総体としてデジタル市役所を目指していきたいと考えています。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) ありがとうございます。デジタル化は目的ではなく手段であるというのは、まさにそのとおりであると思います。デジタルという言葉を聞きますと、どことなく人と人の距離が離れてしまうような、直接対峙する機会を減らしてしまうような、そんな冷たいイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、本市におけるデジタル化においては、むしろ人と人がもっとつながっていけるように、その絆が一層深まるように、人の温かみが感じられる、そういったデジタル化を目指していただきたいと思います。デジタル化には財源と労力と時間を要する場合も多いですが、ぜひとも前向きにデジタル化を進めていただきたいと思います。 また、市役所全体の改革という観点においても、デジタル化に求められる役割があるように思われます。よく市役所は縦割りの組織だと言われることが多いわけですが、デジタルという分野においては、部署間の壁を越えて市役所全体で取り組んでいただくべき分野でありますから、むしろ積極的かつ柔軟に部署同士が連携を深めていくきっかけとしてデジタル化に向き合っていただくべきだと思います。また、デジタル化に向けた業務に関しては、もちろんデジタルへの専門性や知識や経験がある職員に担当していただくことが第一ではありますが、特に若い世代の職員の皆様にも大いに活躍していただける分野でもあります。若手職員の皆様の声にもお耳を傾けていただきつつ、意見やアイデアをしっかりと集約し、実現に向けて検討していただけるような体制においてデジタル化を進めていただきたいと思います。 そうした意味で、市役所改革の柱の一つとしてデジタルという分野が果たす役割は非常に大きいように思われますが、部署や立場、年齢や勤続年数といったものにとらわれ過ぎずに、市役所全体でデジタル改革に取り組んでいただきたいという点について、そして、若手職員の力を活用していくという点についてはどのようにお考えでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ただいま議員から御指摘をいただきましたとおり、デジタル化は限りある財源と人員の中で、私どもが持続可能な形で今後市民サービスを守っていかなければならない。その中においてデジタル化をやっていくということは非常に大きな鍵だと思っておりますし、デジタル化をして内部処理にかかる部分を効率化することによって、くり返しになりますが、やはり市民の皆さんのいろんな相談にもきめ細やかに対応していく時間ができるということだと思っております。 たとえば、保育所申請などでは、紙で出さなくてもデジタルで登録いただければすぐに我々として状況を把握できますし、来庁しなくてもよいということになれば、わざわざお休みを取っていただかなくてもテレビ電話回線を通じてやり取りをするとか、単に私どもの負担を下げるということだけではなくて、市民の皆さんにとっても負担が下がるような形でやっていかないといけない。その中において、いま若手職員の話もしていただけましたけれども、ベテランの職員から若手まで、自分自身がサービスの受け手になったときに、それによって便利になったかどうかという目線で一つ一つを確認していくことが非常に大事でございますので、あらゆる年代の職員に積極的に意見をいただきながら、オール天理市役所でこのデジタル化は推進していきたいと思っておりますし、縦割りではコロナ対応についても到底できないわけでありますけども、私が常々言っておるのは、部署間の連携という言葉は決して使わない。役所の中の文書でも「他課と連携して」、連携というのは外部の方と連携する。我々は全部チームだ。チームの中で連携なんていう言葉は、そんなものは使わないのである。そういった意識でやらせていただいておりまして、全員がデジタル市役所の当事者という思いで取り組んでいきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) ありがとうございます。このデジタル化の波は、日本のみならず世界全体においても、もはや誰にも止められない時代の流れでもありますから、本市においても積極的に、そしてスピード感を持ってデジタル化を進めていただき、市民の皆様の豊かな生活を実現していくことにつなげていただきたく思います。もちろん簡単にはいかないことも多いとは思いますが、今後はますます市役所全体の意識をデジタル化へも向けていただきまして、可能なところから実現していただけるようお願い申し上げて、会派令和の会による代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
    ○議長(大橋基之議長) 次に、十番、市本貴志議員。     〔十番 市本貴志議員 登壇〕 ◆十番(市本貴志議員) 議長の許可を得て、一問一答方式により会派清風会代表質問をさせていただきます。 冒頭ではありますが、新型コロナウイルス、このコロナ禍の中、大きな感染リスクの中で命がけで奮闘してくださっている医師や看護師、医療従事者の皆様、本当にありがとうございます。また、私たちの生活を支えてくださっている多くの人が、「新しい生活様式」の中で戸惑いながら、悩みながら、苦しみながら、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、最前線で働いておられます。海外では、「エッセンシャル・ワーカー」、「フロントライン・ワーカー」などと言われ、感謝と尊敬を集めておられます。我々会派清風会といたしましても、この場をお借りいたしまして、一同心より感謝と敬意を表します。後になりましたが、本市の危機管理に当たっていただいている市職員をはじめ、保育・教育施設など関係各所における皆様方にも改めて感謝を申し上げます。 さて、代表質問は、件名については、一つ、市長の進退については、来年十月執行予定の天理市長選挙の出馬の有無について、一つ、本市の市政運営についてとし、天理市の課題及び今後の見通しについて聞いていきたく、内容については学校給食の公会計化について、文化振興の推進について、提案も交えながら質問してまいります。厳しい市政運営には変わりませんが、しかしながら、夢と希望を持って将来の天理市のことを皆さんと一緒に考えていけたらと思っております。そんな思いを胸に代表質問をさせていただきます。理事者はじめ関係各所におかれましては具体的な答弁を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。 本市は、奈良県下で四番目の市として一九五四年(昭和二十九年)四月一日に天理市政がスタートし、中島賢蔵氏が初代天理市長として市長を担われてから、第八代となる天理市長に並河健市長が就任されました。現在二期目で、第六次総合計画も策定され、「支え合いのまちづくり」を遂行していただいております。また、先ほど冒頭でも述べましたが、新型コロナウイルス対策においても先導し、本市の安全・安心のため日々全力でお取組をいただいているところです。 さりとて、我々議員と同様、市長も公選職の立場にあり、四年間という任期がございます。厳しい市政運営のかじ取りをいただいているところでありますが、並河市長の任期が一年を切ったこのタイミングで、これからの市政運営について御自身がどのように評価されているのか、また、来年執行予定の天理市長選について、三期目への出馬のお考えも含め、所見をお伺いいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 来年秋に二期目の任期満了を迎えるに先立ちまして、市本議員の御質問にお答えし、今後の市政にかける所信を申し上げたいと存じます。 平成二十五年に私が市政をお預かりしてから、早いもので七年余りが経ちました。三年前には自らの不徳により、多くの皆様に御不快な思いもおかけしたにもかかわらず、再び御負託をいただきました。おのれの未熟さを思い知り、学ばせていただく中で、改めて天理市民の皆様の幸福と町の発展のため、全身全霊をささげる思いでこの三年間、努めてまいりました。とりわけ本年、全人類が直面するコロナ禍という未曽有の困難に対し、市民の皆様の不安や苦しみをいささかでも和らげるためにあらゆる努力を尽くさなければならないと思い定めて対策に当たっております。 二期目の三年間を含め、この七年間を振り返りますと、寄附金の大幅な減額による歳入減がありながら、本市は毎年おおむね十億円前後の黒字会計の下、将来負担を軽減しつつ、暮らしの安心安全や地方創生など様々な分野において多くの事業を成し遂げることができました。 「共に創る」、「共創」の精神を掲げスタートした市政において、地域及び市議会の皆様、市職員各位と御一緒に汗を流させていただき、「支え合い」の大切さを何よりも学ばせていただきました。このことが「傷つけ合うより、支え合い」を柱とする本市の新型コロナ対策の上でも礎となっています。皆様の御協力と御鞭撻に心から御礼を申し上げます。 安全で快適な教育環境の充実では、前栽小学校や山の辺小学校体育館の改築改修に続きまして、長年の懸案でありました北中学校及び南中学校の建替えに着手いたしました。今月末の北中学校仮校舎移転をもって、市立小中学校の一〇〇%耐震化を達成することができます。また、全ての学校で、災害時の避難所にも予定しております普通教室への空調設備の整備、トイレの洋式化、児童生徒一人一台のタブレット配備を実現いたしました。児童それぞれの特性に応じてきめ細かい教育を行うため、スクールカウンセラーやサポーターを倍増し、教職員の負担軽減のためのシステム導入を行いました。 多様化する働き方や家庭環境に対応するため、学童保育所と小学校の連携を深め、校舎を活用することで、預かりの人数を約二倍の八百名まで拡大し、コロナ禍による長期休業期間も多くの御家庭を支えることができました。幼稚園の長時間預かりも全園に広げております。 子育て家庭の支援では、通院医療費の助成を中学三年生までに拡大いたしました。妊娠期から就学まで切れ目ない子育て支援の拠点として「はぐ~る」を整備し、自治体として全国初で育成したドゥーラが産後支援に当たっております。食を通じて多世代がつながる「子ども食堂」などの取組も、市民の有志とともに、市本議員はじめ多くの議員各位にも御尽力をいただきまして、市内の幅広い地域に根づきました。コロナ禍の中でも感染対策を工夫され、配食の形式で再開されつつあり、多くの御家庭や地域の高齢者をお支えいただいています。 共に支え合う福祉では、医療と介護をつなぐ地域包括ケアの拠点として市立メディカルセンターを整備しました。同センターと各地域の公民館や集会所を結びながら、介護予防リーダーを中心に市民協働による健康づくりの取組が進んでいます。全国初の成果連動型事業として注目される「活脳教室」は、睡眠データの活用やフランス発のケア手法の導入実証など、先端分野での新たな官民連携につながっております。 介護では、小規模多機能型居宅介護施設を市全域で整備し、訪問介護看護サービスとの併設も開始いたしました。情報通信技術を活用し、ケア情報を医療と介護の現場が共有する事業も着実に進んでおります。民間との連携では、いわゆる「買物弱者」支援として移動販売事業が市南部から高原地域にも広がっています。高原では、地域公共交通の再編によりコミュニティバスを延伸し、通院や買物の移動支援も強化いたしました。 安心安全と活性化のためのまちづくりでは、全市的に防犯灯のLED化を実施し、全ての鉄道駅と各小学校前の防犯カメラの配備、井戸堂校区でのゾーン30の導入等を行いました。浸水に悩まされてきた二階堂校区では、貯留槽を設置して二階堂駅北の浸水を解消し、また二階堂小学校グラウンドの地下貯留施設も完成いたしました。地元代表者も参加いただいているプロジェクトチームにおいて、三ノ坪や庵治地区でのさらなる対策を検討しております。 天理駅前広場コフフンは、多世代が日常的に集い、つながる地方創生の全国的事例として市内外で評価をいただき、市民生活に定着いたしました。西側改札を新設した柳本駅も、無人だった駅舎が観光と地域の絆づくりの拠点となっております。前栽駅及び二階堂駅では、それぞれエレベーターやスロープの設置、多目的トイレの整備などバリアフリー化が進みました。 鉄道駅周辺の活性化と連動した道路アクセスの向上では、名阪側道の開通により市中心部と名阪国道の通行利便性が飛躍的に改善されました。都市計画道路についても、長年途切れておりました北大路線が市道と連結し、勾田櫟本線が国道二十五号線とつながりました。市の南北をつなぎ、緊急車両の通行や通学路の安全確保のためにも重要な九条バイパスにつきましても、県道として事業化され、用地買収が進んでおります。活性化事業や道路アクセスの改善、企業立地支援の充実等により、旧消防署跡地への大型書店誘致をはじめ、市内で飲食店や工場等の立地が一定程度進みました。民間ホテルも一店舗が開業したほか、近年中にさらなる開業を見込んでおります。 就業支援では、ハローワークの分局を併設した「天理市しごとセンター」を開設し、新型コロナ対策に当たりましても市内事業者への支援センターの役割を果たしております。また、シャープ天理工場の遊休スペースを活かし、ベンチャー企業を誘致育成するインキュベーション事業に取り組んでおります。官民連携によりインフラの補修管理や測量に超高速のローカル5Gや高解像度の8K映像を活用する実証実験も開始しています。 これらの事業を進めていく中で、本年は新型コロナウイルス感染症への対策が市民の命と暮らしを守るための最優先課題となりました。特別定額給付金や子育て世代への臨時特別給付金をはじめ、政府の助成策をできるだけ速やかに実施してきたほか、「天理支え合い券」、「天理おうちごはん券」、「天理まなび支え合い塾」、「新しい外食スタイル応援助成金」など、支え合いを柱として本市独自の事業を実施してまいりました。大橋議長には常に市対策本部に御参加いただき、市議会からも格別の御理解と御協力を賜っておりますこと、改めて御礼を申し上げます。メディカルセンター内での休日応急診療所の運営、地域包括ケア、避難訓練などでの協力など、連携を培ってまいりました医師会と御一緒に、「天理地区PCR検査センター」を開設できたことによりまして、多忙を極める保健所を補完し、感染拡大の防止のため本市独自に検査手配を行う体制を構築することもできました。天理大学では集団感染も発生しましたが、これまでスポーツや芸術を活かした地域振興で連携を深めてきた同大学とは緊密に協力することができ、教育実習やアルバイトをめぐって学生の皆さんに不当な扱いが発生した際にも、全国に向けて是正を共に訴え、文部科学省はじめ多大な支援を得ることができました。市議会と地域、行政が三位一体となり、「共創」と「支え合い」のまちづくりに取り組んできたことが、いまコロナ禍にあって大きな力になっていると私は確信をしております。 年を越してもいましばらくは新型コロナの影響が継続し、命と暮らしを守る努力が最も重要な時期が続くと思われます。しかし、コロナ禍の下で行政や教育現場のデジタル化、本市が先駆けて取り組んでまいりましたテレワーク等を社会全体として急激に進めざるを得ない状況となったように、いまは単に「耐え忍ぶ」ときではなく、コロナ後の社会変革に向けた種をまくべきときと捉えなければなりません。持続可能な社会に向けて、経済社会のグリーン化も本格化することが予想されます。国際社会のあらゆる分野において、これらの変革を負担や重荷としてではなく、変革、イノベーションの機会として捉えていけるかどうかが生き残りをかけた鍵となってくると思います。 本市では、新型コロナの影響により懸念される税収の減少に加えまして、かつて年間十五億円あった寄附金が大きく下落する見込みです。税収に換算すれば、以前よりも数十億円程度も年間の収入が少ない状況で市民サービスを維持していかなければなりません。また、地方創生の努力により、国立社会保障・人口問題研究所が行った二〇二〇年の推計人口との比較では、ゼロ歳から十四歳までの人口は推計値を若干上回り、子育て世代の転入などによる一定の効果はあったと推測されるものの、二十代から三十代前半の転出が多い状況は依然続いておりまして、全体として人口減少が進んでおります。 令和元年から集中的に取り組んでいる行財政改革では、組織の見直しや働き方改革により人件費の合理化を進め、その他事業の見直しによりまして年間約四億円の削減という第一目標は達成いたしましたが、これはコロナ前の状況であります。財政がさらに厳しさを増す中で、限られた財源と人員を最大限に活かし、よりきめ細かい市民サービスを実現していくための最も有望な手段として、令和三年度中に「デジタル市役所」への転換を目指して取り組んでまいります。市民の皆様からの申請や市役所内部での処理を可能な限り包括的にデジタル化するとともに、手書きを希望される高齢者の皆様については、デジタル情報に読み込む等の工夫を行い、誰も置き去りにしないデジタル化を実現します。デジタル化により事務作業を合理化することで生まれた余力を、人同士の対面で行う必要がある業務等の充実につなげてまいります。保育所申請デジタル化などは働く御家庭の負担を軽減し、事務を効率化する上でも双方の効果が大きいと考えています。 また、将来にわたって現在保有する全ての公共施設を維持管理していくことは、本市に限らず、あらゆる自治体にとって困難です。施設の統廃合がすなわち市民サービスの低下につながらない形で改革を進めていくためには、従来の使用方法にとらわれない柔軟な活用により、市民目線、利用者目線でのファシリティマネジメントを進めていかなければなりません。 小規模特認校制度と移住促進により在校生徒数が倍増した福住小学校は、来年度より中学校と一貫校化します。また、幼稚園と保育所の一体的な運用により、限られた財源の中で公立の保育枠を広げるための第一段階として、令和四年度より丹波市幼稚園を南保育所と合併し、前栽幼稚園をこども園化します。あわせて、民間保育園の誘致も継続し、待機児童の解消を図ります。また、これまで櫟本校区で先進的に進められてきた、公民館と連携して学校校舎も積極的に活用し、地域全体で子どもを育みながら多世代の絆を創る事業を全市に広げてまいります。市民協働による子育て充実では、豊かな自然を生かした保育事業、各地の子ども食堂、おてらおやつクラブによるひとり親家庭への支援等との連携を一層進めます。 天理の宝である豊かな自然、里山、農地を守り、類いまれな芸術、文化、スポーツを活かして、天理で暮らす魅力、天理を訪れる価値を高めるために、私たちが取り組んできた地方創生の努力と方向性は、SDGsをはじめ、持続可能な社会を目指すコロナ後の世界に向けてさらに重要性が高まると確信しています。いまあるもの、これまでに守り育まれてきたものを大切にしながら、新しい価値を創造する取組を、市民有志、天理大学やアーティスト、なら国際映画祭関係者など、これまで共に歩んできた様々なパートナーとともに推進いたします。 本市単独で全ての市民サービスを賄う発想ではなく、周辺の市町村との連携を深めていくことも重要です。本市を中心市として磯城郡三町及び山添村と結成した定住自立圏では、施設の相互利用やコミュニティバスの相互乗り入れ、介護認定の共同化等の取組が着実に進んでまいりました。令和三年度からは山添村とともに情報システムをクラウド化いたします。十市町村による山辺・県北西部広域環境衛生組合が進めておりますごみ処理の共同化事業では、新施設の令和七年春の稼働に向けて取り組んでおります。環境保全に万全を尽くしながら高効率発電を行い、環境教育や地域の振興にも寄与する施設としていくことは、事務組合の管理者を仰せつかっております私にとって最大の使命であると考えており、地域の皆様との信頼関係を第一にやり遂げてまいります。 これらの事業を進めていくため、令和三年度予算は骨格予算ではなく本格予算として三月議会にお諮りしていく予定です。新型コロナ対策に引き続き全力を尽くしながら、コロナ後を見据えて、支え合いのまちづくりを市民、市議会の皆様と御一緒に進めていくために、私自身が再び市民の皆様から市政の御負託をいただけるよう一層精進してまいることをここに表明いたします。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) 議長も常々よく言われます、行政と議会は両輪であるということです。権能の違いはありますけれども、同じ公選職の立場であります。市政発展におきましては御尽力をいただきますよう御祈念申し上げます。 次の質問に移ります。学校給食の公会計化について質問いたします。昨年、令和元年十月十八日に開催された定例教育委員会の場において、吉田教育委員から、学校給食の公会計化について、大事な問題ですので頑張って取り組んでいただきたいとの発言がありました。このことについては政府の働き方改革と連動するように国、文部科学省から通達があったところです。この通達がなされた学校給食費の徴収に関する公会計化等の推進について、どのように認識をされているのか教育長にお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 市本議員の御質問にお答えいたします。昨今、教員の長時間勤務が深刻な状況となっている中、平成三十一年一月に中央教育審議会でまとめられました「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策についての答申」において、「学校における働き方改革」の具体的な方策の一つとして、学校給食費の公会計化が提言されました。 これらを受けて、文部科学省では、地方公共団体における学校給食費の公会計化を促進するとともに、保護者からの学校給食費の徴収・管理業務を地方公共団体が自らの業務として行うことを促進するため、平成三十年度に実施した「学校給食費の徴収・管理業務の改善・充実に関する調査研究」に基づく結果を踏まえ、令和元年七月に「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」が作成され、また「学校給食費の徴収に関する公会計化等の推進について」の通知が発出されましたことを本市教育委員会として認識しております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) 御認識をいただいているということであります。 同じように、昨年十月の教育委員会では、吉田教育委員に対しての事務局側の答弁を要約させていただきます。「御提案も要望もいただいているところについては、教職員の負担軽減につながってくることにもございます。国からこのことについての通知も実際にあるわけですので、教職員の負担軽減の点からは、なるべく早いうちに全体的な財政需要を見ながら進めていきたいと考えております」という御答弁がありました。さて、この「早いうち」というのはいつ頃からでしょうか。学校給食費の公会計化については、具体的な目標を定めないと前には進みません。いつから取り組むか、教育長から御答弁賜ります。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 御質問にお答えいたします。 本市教育委員会といたしましては、文部科学省のガイドラインを踏まえ、先行事例を範として、計画的に「デジタル市役所事業」と歩調を合わせ、令和四年度当初に学校給食の公会計化を本格導入できるよう、導入に向けての取組を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) 実際に令和四年ということで具体に挙げていただきました。ありがとうございました。給食費に関しては未納であるとか徴収に関していろいろ制約等もあると思いますけれども、未納対策、徴収に関しましては約四割の保護者の方が児童手当からの徴収も選択されているようでございます。「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」を地方公共団体に向けて国の方は上げておられます。前向きで具体的な答弁をいただきました。ぜひ前向きに、令和四年からという御返事をいただいたので、よろしくお願いさせていただきます。 次の質問に移ります。文化振興の推進について御質問させていただきます。文化振興の推進については、「歴史と芸術が息づく豊かな文化の都・奈良県」、県ではこのように標榜されているわけですけども、奈良県では、文化芸術振興基本法の趣旨を踏まえて「奈良県文化振興大綱」を策定されました。本市においては、文化力の高さは言うまでもありませんし、ここにいる皆さんが認めているところだと思います。天理市の強みでもある文化力、歴史、芸術、音楽、スポーツなど、この町にとっての文化の意義は深いものだと思います。ここで、この文化の意義、認識についてお尋ねをいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 文化につきましては、本市の支え合いのみならず、これまで長年培われてきた歴史の奥深さ、あるいは市民の皆様に育まれてきた土地そのものを表現する、地方創生にとって最も重要な要素として文化を位置づけてまいりました。そして、本市につきましては、行政の最上位計画として総合計画を十年ごとに定めておりますが、私が就任する以前の第五次総合計画までのほとんどにおいても、やはり「文化都市」あるいは「歴史・文化」という文言が盛り込まれておりまして、都市の将来像はその時々の市民ニーズや時代背景によっても変わっていくものなんですけれども、本市の場合は町の発展と文化が常に共にあり、常に文化を意識して運営されてきたと考えております。これまで本市を特徴づける大きな要素であった文化をまちづくりの中にしっかりと活かしていく。そして市民の皆様の暮らしの中にやはり文化が常にあることが本市の文化施策上の特徴ではないかと思っているところでございます。すなわち、行政が与えつくってきたものというよりも、市民の皆様がこれまで受け継いできた、あるいは暮らしの中に常に文化があるというところが本市の特徴であろうと考えているところでございまして、今後の定住・移住促進、あるいは教育分野で子どもたちを育んでいくこと、高齢者の皆さんの介護予防、健康づくり、こういった点にも常にそこに文化の要素が大きな役割を果たすと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) ありがとうございます。市民の力があるということでもお答えいただいたところですが、引き続き文化の位置づけについて、天理駅前でいま、コフフン、そして本通りではTURNと整備もいただきました。また、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭への取組、また、なら国際映画祭、天理パフォーマンスフェスティバル、第九、イベントの開催や支援など並河市政では数多くの文化事業を手がけていただいているところです。この町の、先ほども言いました市民力、文化力、並河市政にとって文化の位置づけはどのようなものでしょうか。お聞きかせください。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 芸術文化には、自己肯定感など人の生きる意欲を醸成する力があるとともに、先ほど来申し上げております支え合い、他人をいたわり、受容し、心の平静を保つ、こういった要素があると思っております。社会の中では青少年健全育成から犯罪抑制にもつながっていくというところでありますし、地方創生など町の発展にも寄与するところが大であると考えておりまして、先ほど市本議員からも、この間、取り組んでまいりました様々な文化事業についてもおっしゃっていただきました。本年につきましてはなかなかコロナ禍の中で実際に集まっていくところに一定の制約はあったわけでございますけれども、いまこそ様々な点を工夫していきながら、コロナ後の本市の在り方を考える上で、やはり文化は中心的な位置づけを担っていくと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) いま、文化の認識と位置づけで御答弁いただいてきたところでありますけれども、令和三年度中に開村を迎える「なら歴史芸術文化村」、先日の奈良県議会の質問においても数名の県会議員の方々が質問をなされていました。これに関して奈良県側の答弁ですけれども、「奈良県文化振興大綱」にも記載されているとおり、市町村や文化団体とともに歴史文化資源活用施設展開の総合拠点及び芸術の交流、触れ合いの場として、「なら歴史芸術文化村」を中心に文化関連施設の拠点として、県内の文化的ゾーニングを行っていきたいという御答弁でした。この天理市に現在整備していただいております「なら歴史芸術文化村」が二年後、二〇二二年度に開村されますが、このことについて天理市側はどのように捉えられておるのかお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 「なら歴史芸術文化村」は、令和三年度中のオープンに向けまして、本年九月の奈良県議会において「なら歴史芸術文化村条例」が可決され、いま議員がおっしゃったような内容のものを目指されると承知をしております。 本市のこれまでの取組としても、「なら歴史芸術文化村」が所在する予定の山の辺の道エリアと天理駅前広場コフフンの二つのエリアを芸術・文化の力によって結んでいくことを目指しまして、本通り商店街の中で空き店舗を活用したArt‐Space TARNを開設いたしました。この拠点を中心に、平成三十年度から国内外のアーティストの皆さんが本市に滞在し、市民の皆様と交流をしながら共に創作活動を展開するアーティスト・イン・レジデンス事業を開催しているところでございまして、これはコロナ禍の本年においても継続しているところでございます。 また、子どもたちも参加したワークショップ事業や市内外の芸術家による展覧会なども行っておりまして、県事業ではありますが、「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」を本年、合同で開催し、市内外から多くの皆様にもお越しいただいたところでございます。来年度は「はならぁと」の中心地として展覧会会場を増やし、規模も拡大して実施する予定でございます。「はならぁと」を契機といたしまして、天理本通り商店街をはじめ天理参考館、天理大学附属図書館、石上神宮など多くの貴重な地域資源や既に本市や地域で実施されている事業をしっかりと活かしていきながら、交流人口の拡大や地域の活性化なども併せて目指していきたいと考えております。 また、コロナ禍の中で、コロナ後の社会に向けた新しい芸術の在り方という部分も模索しているところでありまして、先ほど「はならぁと」の開催について御紹介いたしましたけれども、この際も、現実世界での展覧会と併せて、インターネット上、オンラインで展示の状況を見られる工夫を、特殊な三百六十度カメラを利用し実現いたしました。今後予定しておりますTARNをはじめとする展覧会においても、うまくリアルとバーチャルを組み合わせていく中で、これまで以上に幅広い皆様方が天理の文化芸術に関わり、共に創っていくというところを目指していきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) ありがとうございました。ちょうど来年の二〇二一年が開村の一年前になってくるわけですけども、市制六十周年のときに、前年にプレ事業という形で、市民の方々でありますとか団体から冠事業という形で機運を高めていく取上げをしていただいたわけですけど、また開村される前の来年度、ぜひそういう取組をまた考えていただけたらと思います。要望しておきますので、どうぞよろしくお願いします。 次、最後となりますけども、文化庁が提唱する「文化芸術創造都市」をぜひ目指していただければいかがかという点が一点と、本市の文化振興をさらに推進していただくために、それらを効果的、また効率的に推進していただくために新たな部署の設置、機構の改革が必要であると思っております。御所見をお願いいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員からただいま御指摘をいただきました「文化芸術創造都市」に定義されております、文化芸術の創造性をまちづくりに活かしていくことで市民の活力を引き出し、都市の新しい魅力をつくり出すように努めることが大事だと思っております。このコロナ禍の下でも市内の文化振興に御尽力をいただいている各種団体の皆さん、民間の企業の皆さんには文化の火、活性化の火を消さないように創意工夫をしていただきまして、ウイズコロナ対策としてリモート配信などによるデジタル化の流れも取り入れながら、積極的に文化の振興を図っていただいております。引き続きこの環境を守りながら、本市最大の魅力であります多様性を認め合う事業としてこの文化事業を継続し、地域社会の構築を続けていくことが大事だと思っております。 本市は、市民主役の文化振興充実のために、効率的、効果的に文化振興のサポートが行われる部署の設置検討を進めているところでございまして、今後もなお一層の文化の振興及び充実に努めたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 市本議員。 ◆十番(市本貴志議員) ありがとうございます。文化事業を本当に推進していただけるとお聞きしました。また、そのためにサポートする所管についても検討いただいているということでありました。ありがとうございます。新設される所管を楽しみにいたしております。 冒頭より力強く表明ということで御答弁もいただきました。学校給食の公会計化につきましては、具体的に令和四年ということも御答弁いただきました。また、文化振興の推進についても機構の改革を本当に検討いただけると具体的な答弁をいただきました。 最後になりますけれども、コロナ禍の中、皆さんが新しい生活様式の中で頑張っておられます。我々もそれを支えていきたいとも思っておるところでございます。 これで清風会の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) 次に、六番、鳥山淳一議員。     〔六番 鳥山淳一議員 登壇〕 ◆六番(鳥山淳一議員) 議長のお許しをいただき、会派絆の会の代表質問を一問一答方式にて行います。理事者をはじめ、関係各位の御答弁をよろしくお願いいたします。 先ほどからも上げられていますように、コロナ感染症については終止に向かうどころか以前にも増して厳しい広がりをしてきているところです。今月に入り、全国で三千人を超す一日の感染者数が報告されています。全国でも既に十七万余りの方が感染され、お亡くなりになっておられる方も二千人を超えているところでございます。世界でも七千万人以上の方が感染されて、百六十万人が死亡されている非常に厳しい感染症でございます。この状況は今後も予断を許さないで続くことが懸念されているところです。様々なことがこの感染症のために変わっていく、変えられていくことがあると思います。いろんな変革を迎えているときでもございます。 市の方では本当に対策本部が私たちを守っていただく最前線として、この対応に素早くやっていただいております。命や人権を考えた対応に感謝したいと思います。また、関係の皆様の御苦労に本当に心から感謝申し上げます。そして、現在入院されておられます、治療されている感染者の皆様の御回復をお祈りするところでございます。 件名につきましては、子育て・教育環境支援の取組について(コロナ禍での対応を含め)ということで上げさせていただいております。その中で、市の子育て支援の取組について、不登校の現状と対策について、要対協対象者への取組について、感染情報の共有についてでございます。そして、高齢者支援の現状についてお伺いをしたいと思います。 本市では従来より切れ目のない子育て支援に取り組んでいただき、子育てに不安を抱える保護者への支援を進めていただいております。子育てを始めた半数近くの方が子育てに悩みや不安を抱えておられると言われています。特に、地域の中で子育ての悩みを相談できる人が少ないことを挙げられる方が非常に多くいます。このような不安を残すことが、後でお聞きします虐待にもつながっていくことが大変懸念されております。このコロナ禍での対応を含めた子育て支援の状況はどのようでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 鳥山議員の御質問にお答えさせていただきます。 子育てをめぐる諸課題というのは様々でありますが、特に母親の皆さんが様々な負担感を孤立した状態で抱え込まないようにするために、いつでも御相談いただける切れ目のない支援が重要という御指摘は全く私どもも同じでございます。子育て世代すこやか支援センター「はぐ~る」では、誰もが自由に利用できるすこやかホールで子どもを伸び伸びと遊ばすことができ、スタッフとも顔なじみとなっている中でいつでも気軽に相談を受けられる体制を取っております。このような中、今年の三月からのコロナ禍、特に緊急事態宣言発令時には一時「はぐ~る」を休館せざるを得ませんでした。コロナ禍でさらに孤立した状況が生じてしまうことが懸念され、その解消策として、「はぐ~る」では子育て世代に向けた動画を配信したり、電話やメールによる相談を実施するなど、そのときにできる支援を継続してまいりました。また、市内四か所の地域子育て支援拠点におきましても同様で、電話やメールでの相談に加えまして、公式LINEやZoomにより手遊び、触れあい遊びや講座、教室などの動画を定期的に配信し、真に支援を必要とする方々への特別な保育も実施するなど、各拠点の利用者のニーズに合わせた孤立解消への取組を継続してきたところであります。 現在、「はぐ~る」をはじめ「地域子育て支援拠点」では、人数制限や時間制限を設けるなど新型コロナウイルス感染症対策を講じながら運営を再開しております。今後も引き続き市内四か所の支援拠点との連携を密に取りながら、天理市の子育て世代への「切れ目のない支援」に努めてまいります。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。徐々に工夫をしていただきながら子育て支援の体制が元に戻ってきつつあるということをお聞きしました。情報発信、そしてやっぱり工夫をしながら、様々な面でお悩みをお抱えの保護者の方に御支援いただきますようにお願いしたいと思います。 次に、独り親家庭が大変増えてきているように現状聞くわけですが、このような状況の中で、独り親世帯の対応についてはどのように進められているのでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 子育てとお仕事を独りで担われる独り親家庭については、新型コロナ感染症の影響により、子育てに対する負担の増加や収入の減少など、生活にも困難が生じているということが懸念されます。こうした世帯を支援するため、八月に国の施策で「ひとり親世帯臨時特別給付金」の支給が行われ、さらに追加経済対策として「ひとり親世帯臨時特別給付金」基本給付分の再支給が決定され、現在、年内支給に向けて準備を進めているところであります。 この世帯に対しましては、本市独自での上乗せ支援を行わせていただいたほか、「天理支え合い券」を、児童扶養手当が支給される受給者に対しましては五千円分を追加で給付するといったような措置も講じております。また先日、十一月二十四日には、特定非営利活動法人おてらおやつクラブと「ひとり親家庭の支援に関する協定」を締結いたしました。おてらおやつクラブは、お寺から集まった食品を、支援団体を通じて約二万人に届ける活動を全国的に展開されておりまして、本市ではこれまでも独り親世帯に対しておてらおやつクラブの支援サポートの橋渡しをさせていただき、八十世帯の支援につなげることができております。「支え合い」をまちづくりの根本に置いている本市といたしましても、今後この協定締結をきっかけに、さらに活動の幅を広げ、独り親世帯への支援、問題解決に共に取り組んでいきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) 独り親世帯への様々な御支援をお聞かせいただきました。ありがとうございました。どうしても独り親世帯の方にとって子育ての不安は残ってくると思いますし、いろんな部分での御支援をお願いしたいと思います。 続いての質問でございますが、今年度は、感染症による緊急事態宣言等により、学校におきましては、学年度当初からいわゆる分散登校や臨時休校での家庭学習という状況で年度がスタートしております。全国的にも小学校、中学校、高校とも依然として不登校児童生徒数、不登校の割合は増えてきている現状がございます。本県におきましてはどうにか横ばいの数字でございますが、やはり小学校六年生から中学校一年生にかけては、年度が変わり、約三倍の不登校の数が出ておるところでございます。 このような中で、本市の不登校の現状と対応についてはどのようになっておりますでしょうか。お願いいたします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 鳥山議員の御質問にお答えいたします。 今年度、新型コロナウイルス感染症のため、四月、五月が休校となりましたので、例年七月に実施している早期発見のための不登校傾向児童生徒調査ができませんでした。また、その後も学校・学年・学級閉鎖のため出席停止になったり、感染予防のために出席を控える者もいたりしましたので、従来から見られた学校・家庭・本人の課題に起因する不登校との区別が難しい状況にあります。しかし、学校現場の教員たちによる家庭訪問や欠席内容から不登校傾向の早期発見に努めているところでございます。十月末現在、十五日以上欠席している児童生徒は、小学生十七名で昨年度比プラス一名、中学生八十名で昨年度比プラス四名となっています。 対策といたしましては、教員が小まめに家庭訪問を実施したり、別室登校や放課後登校を実施したりするなどして、少しでも学校に登校しやすいように個々の状況に合わせて対応してくれています。 たとえば、南中学校では学級への復帰を目指す前段階として「ほっとルーム」という部屋を開設しています。学級に入りにくい生徒たちがこの部屋で過ごすことで、少しずつ学校生活に慣れるためのエネルギーを蓄える居場所として利用し、教員が授業を調整しながら学力補充や心の相談に当たってくれています。 このほかにも、それぞれの学校で校内委員会を開いたり、人権教育推進教員が関わったりして、個々の抱えている課題解決に向けて工夫しながら児童生徒に支援を行っております。 ただ、休業期間中のリモート学習によって、それまで不登校であった子が参加できたという報告もあります。昨年度よりZoomで自宅と教室をつなぐ取組、今年度には不登校傾向の生徒を校内で受け入れている別室からGoogle Meetで教室の授業を視聴できるようにする取組等を行う学校も出てまいりました。また、GIGAスクール構想によりPCが一人一台、アカウントも児童生徒一人ずつに付与されたことから、幅広くリモート学習が可能となりました。既に新型コロナウイルス感染症による学年・学級臨時休業時、あるいは家庭学習を希望する際、園児・児童生徒を対象に動画配信やZoomによるホームルームや授業を行っている学校・園もあり、不登校対策にも積極的に活用していきます。 教育総合センターにおきましては、感染拡大中も施設を閉じることなく、感染予防対策を十分取りながら、利用者や学校と相談の上、教育相談、適応指導教室、ゆうフレンド派遣を実施してきました。また、天理市不登校支援委員会を開催し、市内の不登校状況の把握や各中学校区の情報交換を小学校と中学校の間で行っております。さらには、心の不調を訴える児童生徒に対してよりよい早期対応を行うために、まなび推進課の指導主事とセンターの臨床心理士が訪問する学校訪問教育相談会を実施し、関係職員と児童生徒の理解と支援の方途を探り、継続して教員へのコンサルテーションによる支援を実施することにも取り組んでおります。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。本市は教育総合センターもございますので、十分な不登校対応の環境があると思っております。それを含めて持続的に不登校対応の取組をしていただくようにお願いしておきたいことと、教育長の御回答でもございましたが、やはりいま一人ひとりが持っているZoomでありますとか、ネット環境を利用した不登校児童生徒への関わりができると思います。少しの兆し、少しの関わり、それが不登校児童生徒にとっては登校への手がかりとなるところでございますので、十分この機会にそういった環境を利用しながら、不登校児童生徒対応の強化をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 続きまして、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協と申し上げますが、これらの対象者への取組についてお伺いしたいと思います。ここ数年、児童への虐待件数が右肩上がりで増えてきております。今年一月から何と半年間で、全国では九万八千件の虐待事案が報告されているようにお聞きします。虐待がもたらす影響は、子どもたちにとってはそのことが負の連鎖を招くということにもつながってきます。児童福祉課に現在、要対協があるんですけれども、本市の要対協の現状はどのようになっているのでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ただいま御指摘もありましたが、平成二十九年度から令和元年度にかけての本市の児童虐待対応件数が二百四十七件、二百二十一件、三百二十二件と、令和に入ってから増加しております。この傾向は、本市のみならず奈良県を含め全国的に見られるところでありまして、今年度もさらに増加していることが懸念されます。一方、新型コロナの拡大により緊急事態宣言が出されていた五月は、全国での対応件数が去年よりも減少しておりまして、その理由として「学校・保育所などからの情報提供が減り、潜在化していた可能性がある」との指摘もなされております。本市におきましては、学校休業や外出自粛等が行われている中で、子どもたちの生活環境が変化し、児童虐待が増えることが懸念されたことから、学校関係者、関係機関と緊密に連携し、支援対象児童等の状況の変化の把握に努めるとともに、必要な支援が講じられるように取り組んでいるところでございます。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。要対協の件数でございますが、いわゆる重篤な案件がこの中でも五分の一、六分の一の件数であるのではないかなということ、全国的に申し上げましても出てくるように思います。それを受けて、様々に国の方でも児童虐待についての方針をなされておられるところと思いますが、本市の今後の要保護児童対策地域協議会(要対協)の方向性としてはどのようにお考えでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 本市では、天理警察署生活安全課、奈良県中央こども家庭センターなど十八機関で構成しております天理市要保護児童対策地域協議会の構成各機関と常に連携を取りながら、情報の共有を図り、児童虐待の防止に努めております。家庭児童相談室がその事務局となりまして、教育委員会、保健センターなど行政関係の各部局と一体となり、児童虐待防止に取り組んでいるところであります。児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、二〇二二年までに全市町村設置が目標とされております「子ども家庭総合支援拠点」につきましても、既に拠点として担うべき機能・業務は取り組んでいるところでありますので、設置に向けて準備を進めております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。市の方でも二〇二二年に向けたさらなる取組をしていただけるとお伺いしました。虐待については本当に素早く、課題に沿った関係機関の連携が大変必要でございます。それがうまく稼働できて虐待事案を未然に防ぐ、また虐待を受けた子どもたちへの対応ができるということであると思います。 私の知っているところですが、家庭児童相談室の指導員の方と地域の方が、民生委員でございましたが、協力をされて、小学生と保育所の子どもたちがおられた家庭だったんですが、もうそこがとても子育てができないということで対応され、現場を見に行かれて、その日のうちに養護施設へ保護されておられたという事案がございました。一歩遅れれば恐らく、何もなかったかもしれませんが、食事、それから家の中での生活がし切れないようなことを覚えているんですが、地域の方や相談員と関係機関との連携が非常に大切になってきておりますので、どうか二〇二〇年に、要対協を含む家庭児童相談室が今以上に機能を果たせるような組織としてできれば大変うれしいなと思うところでございます。 続きまして、学校など、現在、コロナ感染症については十分な対応をしていただきながら、素早く元に戻せるような取組をしていただいていることに感謝申し上げたいと思いますが、安全を第一に考えておられる中で、感染症の情報共有についてはどのようなことを取り組んでおられるのかお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 質問にお答えいたします。 情報共有に関してでございます。市立小中学校において関係者及び児童生徒が新型コロナウイルスに感染した際でございますが、個人のプライバシーに細心の注意を払いながら、各学校より保護者に感染状況及び臨時休業、再開についてのお知らせ文書のメール配信、検査対象者の保護者に対しての検査についてのお願い等の連絡をしております。児童生徒の兄弟姉妹が関係する施設、関係機関等とも適切に情報交換を行うことにより、緊密に連携を図っております。また、感染状況等を把握いただき、臨時休業の判断についての助言をいただくため、学校医、学校薬剤師、学校歯科医にも迅速に情報提供するように努めております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) プライバシーの部分もありますし、大変いろんなことを考えながら対応していただいているところだと思います。最後にございましたが、学校での守秘義務を守っていただけるような、関係の医療に関わっているところへの情報提供などをしていただけたら、また感染症の広がりについてはより対応が強化できるのではないかと思うところでございますので、よろしくお願いいたします。 最後になりますが、高齢者支援の現状について、コロナ禍での対応も含めて、高齢者の皆さんへの活動支援についてお伺いしたいと思います。 コロナ禍で、高齢者の皆さんや基礎疾患のある方が感染から重症になりやすいことを防ぐため、どうしても家庭から出ないという状況がございます。いわゆる巣籠もりになるという現象が社会的な問題ともなってきております。一方で、巣籠もり状況が長く続くことにより、生活不活発というような健康への影響が懸念されているようです。高齢者の方が動かない状態が続くと、心身の機能が低下してしまい、ついには動けなくなってくることが出てくると言われています。また、認知機能にも少なからず影響を及ぼすとされています。このことをフレイルと呼ばれているようですが、コロナ禍以前は市の方でも様々なイベントが催され、特に高齢者の方が可能な限り地域での行事や生活をし続けることができる、自立生活ができるような支援を介護予防的に進めていただいておりました。いまはどのような状況でしょうか。お聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 本市では、高齢者の閉じ籠もりやフレイルの予防といたしまして、STEP体操などの介護予防体操を住民主体で週一回程度行っていただく通いの場づくりを進めてまいりました。通いの場づくりに関しては、本年度より配置をいたしました「生活支援コーディネーター」と「地域包括支援センター」とも協力し、立ち上げや継続支援を行っているところであります。また、市内の理学療法士や作業療法士などのリハビリ職とも連携を図りまして、通いの場にリハビリ職を派遣し、体力測定や効果的な体操を実施するための助言を行うなどの支援も行ってきたところです。 コロナ禍におきましては、議員御指摘のとおり、多くの高齢者が外出をお控えになっておられる状況がございます。運動機会の減少による虚弱を防止するために、STEP体操の映像を七分程度に編集し、市のホームページで配信なども行っております。また、希望される方にはSTEP体操のDVDを個別に配布するなど、ご自宅でも健康づくり、介護予防に取り組んでいただけるように対応しているところでございます。 現在は、感染対策を講じた上で、メディカルセンターや公民館での活脳教室、活脳クラブをはじめとして、介護予防教室や住民主体のサロンなどの通いの場も再開されてきている状況であります。一方で、いまだ再開できずに自粛中の団体もございますので、再開の御要望があった場合には、感染予防策の助言を行うなど必要な支援を行いまして、できる限り円滑に再開いただけるように、高齢者の活動機会や活動場所が確保できるような支援を行っていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。公民館での体操教室など地域の中で高齢者の方が活動できる場所ができてくるということが、フレイル対策としては非常に効果的ではないかと思います。なかなかコロナ感染症を考えながらの活動は難しい部分はございますが、情報を発信していただき、高齢者の活動支援をしていただきますようにお願いしたいと思います。 いま市長のお話にもございましたが、生活支援コーディネーターが現在活動されているようで、これがまた高齢者の方にとっては動きやすい状況をつくっていただけるのではないかなとお聞きしていますが、生活支援コーディネーターの活動は今後どのような方向をお考えでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 生活支援コーディネーターは、地域において生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネートの役割を果たしていただいております。本市におきましては、本年七月から社会福祉法人大和清寿会様へ生活支援コーディネーターの配置を含みまして、生活支援体制整備事業に関する業務委託をしております。 配置された生活支援コーディネーターを中心に、生活支援サービスの提供主体、ボランティアの発掘から養成を行っているところでありまして、これまでに天理教青年会本部様やボランティア団体であります「傾聴てんり」様から三十五名の生活支援ボランティアの養成を行わせていただきました。現在は生活支援コーディネーターと地域包括支援センターとが連携を図りながら、生活課題を抱える高齢者とボランティアのマッチングを行っております。活動内容として、庭の草引きや家財道具の軽微な修繕、独居高齢者の話し相手や聴覚障害を持たれる高齢者の方の散歩への同行など、幅広いニーズにも対応を行っていただいているところであります。 今後は、地域に潜在していると考えております支え手、特にアクティブシニアと呼ばれる方々をいかに巻き込んでいくかについて知恵を絞っていきたいと考えておりまして、現在策定中の地域福祉計画の中でも、地域の支え合い活動の充実に関し、サロン活動などに対する支援を通じて、地域での新たな支え合いを生み出せるように取組を盛り込んでいきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。高齢者の皆さんが相談できる相手、地域包括もそうなんですが、これとの結びつきを生活支援コーディネーターがやっていただけること、またこの発掘にお力を注いでいただけるということでございますので、高齢化になっていく中で安心しながら生活していける取組をまたお願いしたいと思います。本市の介護予防対策と健康づくりがますますこのことによって充実していきますように、どうぞお願いしたいと思います。 ありがとうございました。これで絆の会の代表質問を終わらせていただきたいと思いますが、コロナ感染症の一刻も早い終息を願いつつ、またこれに関わっていただいている関係各位の皆様に感謝申し上げ、これで代表質問を終わりたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 以上をもって代表質問を終わります。 しばらく休憩いたします。午後一時より再開いたします。             午前十一時三十六分 休憩             午後一時零分 再開 ○議長(大橋基之議長) 休憩前に引き続き会議をいたします。 引き続き、一般質問を行います。 次に、十三番、荻原文明議員。     〔十三番 荻原文明議員 登壇〕 ◆十三番(荻原文明議員) それでは、市長並びに関係各位に一般質問を一括質問方式で行います。 まず第一に、介護保険制度、第八期介護保険事業計画などについてお尋ねいたします。二〇二一年度から二〇二三年度までの第八期事業計画策定に当たっては、高過ぎる介護保険料の上昇を引き下げること、利用者の経済的負担を抑える問題、介護の人材不足解消と報酬の引上げを図ること、介護離職と言われる問題を解決していくことなどの地域ニーズと住民の要望を課題として捉えて解決を図っていくことが求められています。 ケアプラン有料化、二割三割負担の対象拡大、要介護一、二の総合事業移行、財政的インセンティブ強化の見通しと、これを実施された場合の軽減対策を講じること。 介護保険料、利用料の減免制度の拡充が必要です。単独減免三原則は会議資料、事務連絡であり、市民の負担能力を超える部分を支援することは可能です。一般財源法定外繰入れは、法的には可能です。 介護給付費準備基金の当初の目的は現在でも変わっていません。会計検査院二〇〇八年五月の報告書は、介護保険は三年間の計画期間ごとにその期間を通じて同一の保険料を介護サービスの見込量に見合って設定するという中期財政運営方式を採用しており、介護給付費が総じて増加傾向にあることから、計画期間の初年度は一定程度の剰余金が生ずることが想定されて、この剰余金を管理するために市町村は介護給付費準備基金を設けることができるとされている。そして、介護給付費が見込みを下回るなどの場合は、剰余金を準備基金に積み立て、介護給付費が見込みを上回るなどの場合は、前年度以前に積み立てられた準備基金から必要額を取り崩し、計画期間の最終年度において残高がある場合には、次期保険料を見込むに当たり準備基金を取り崩すことが基本的な考えとなっていると述べています。基金の残高は取り崩すことが介護保険運営の基本的な考えであることは、当初もいまも変わっていません。第八期保険料抑制のために、介護給付費準備基金を全額繰り入れることが必要です。 次に、ニーズ調査等において、住民の要望は計画に反映させることが必要です。入所申込者や潜在的ニーズを把握し、施設整備費等の計画で待機者解消を図ることが必要です。住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の家賃食事補助を設けること。 日常生活圏域である中学校区ごとに小規模多機能居宅介護、定期巡回随時対応型介護看護を含む訪問通所短期入所基盤整備、医療連携について、どのように計画に反映させようとしているのでしょうか。反映させることが必要です。 要介護の総合事業移行については、本人の希望を十分尊重することが必要です。 保険者機能強化推進交付金の「自立支援目標」を計画の目標としないことが必要です。 介護保険料の減免制度を拡充すること。 部屋代、食事代の負担が増えないよう独自の軽減措置を取ること。 これらについて、その実施をどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、国民健康保険制度についてお尋ねします。奈良県は、奈良県国民健康保険運営方針の中間見直しを発表しました。中間見直しでは、保険料減免、一部負担金減免基準の統一化、保険料統一化、収納対策のマニュアル化などについて市町村に求めています。 国保制度は本来、市町村単位で地域の実情に合わせて行うことを基本としています。だからこそ、現在でも保険料の決定、徴収、給付は市町村で行われています。本来、地方自治制度は、基礎自治体である市町村の様々な特徴や違うことを前提に成り立っています。県内のどこに住んでも保険料水準が同じとなる必要はありません。住民の負担能力に応じて負担できるように、市町村とともに責任を持つのが県や国の役割です。少なくとも現行の保険料・一部負担金減免水準は維持し、さらに拡充を図ること、国民健康保険料の引上げは行わないこと、一か月の短期証は発行しないことについてどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、地域生活支援拠点等整備についてお尋ねします。障害者児の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能(相談、緊急時の受入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり)を地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害者児の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築するために地域生活支援拠点等整備の準備が行われています。その現状と見通しについて、どのようにお考えかお尋ねいたします。天理市の方針、そして現状と整備見通しについて明らかにしていただくこと、関係者の意見要望を十分に聞き計画に反映すること、また、充実した対応ができる事業とするため県域実施も検討することについてどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。新型コロナウイルスの感染拡大第三波の下、七割の中小企業が売上げが減ったという調査結果も出ている中で、「年を越せない」、「身銭を切って営業と雇用を守っている」という痛切な声が聞かれています。現状のコロナ対策の継続と拡充が求められています。 そこで、税・料などの引上げは行わないこと、新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料、介護保険料減免の延長を行うこと、住民サービス維持のための減収補填債、特別減収対策企業債等の活用を図ること、医療機関介護施設等児童福祉施設等慰労金の上乗せ支給をすること。 学生が経済的に厳しい状況に置かれている根底には、世界一高いと言われる高学費負担があります。二人に一人が奨学金を借り、低所得世帯に限らずアルバイトで学費を賄い、生活を維持している学生は少なくありません。新型コロナ感染拡大の影響でアルバイトの継続が困難となるなど、いまも以前の状況には戻っていません。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けている学生に対し学びの継続を支援するため、給付型奨学金を緊急実施すること、就学援助制度をせめて国レベルに拡充することが必要です。 高齢者等の自粛や閉じ籠もりにより生活後退や状態悪化が生じている中、実態把握と支援を講じること。 以上について実施することについてのお考えをお尋ねいたします。 次に、奈良県域水道広域化についてお尋ねします。奈良県が進めている水道広域化は、来年一月に覚書締結を予定しています。覚書は「次の各事項に合意し、今後、水道事業等の統合に向けての協議検討を進めるため、本覚書を締結する」と書かれています。二〇二四年度企業団設立、二〇二五年度事業開始の予定です。そこで、覚書締結については、締結をされるのかどうか、お考えをお尋ねいたします。 浄水場廃止による災害時の自己水の確保が必要です。井戸の維持をしていくことが必要です。また、県内浄水場の統廃合が計画されています。これでは配水区域が広くなり、給水停止などの被災した場合の影響がひどくなります。これに対する対策も併せて計画する必要があります。 また、財政見通しと剰余金、現行繰入金の減額等取扱いなどについて、どのようにお考えかお尋ねいたします。広域化した香川県では、国の交付金の申請に対する採択率は六五%、埼玉県秩父地域では予定額の六五%であったと言われています。県の示した財政シミュレーションには、施設の除却費用などが反映されていないなどの課題があり、給水単価の比較の根拠が不明であることが指摘されています。現在の状況の住民への周知と理解を図ることが必要です。その上で覚書締結の判断をするべきですが、これらについてのお考えをお尋ねいたします。 次に、二〇二一年度予算編成方針についてお尋ねいたします。来年度予算編成方針では、「持続可能な行財政運営」の名の下、前年度ソフト事業五%削減、一般財源の支出を伴う新規事業、拡充事業は原則凍結などの一層の経常経費の削減を示し、市政運営の五つの取組方針に沿って予算編成を行うこととしています。令和三年度市政運営の五つの取組方針についてお尋ねいたします。 その一つに、デジタル化の推進を示しています。天理市は、NTT西日本と「ICTを活用したまちづくりに関する連携協定」を締結し、福祉、教育、産業、都市環境、行財政運営、安全安心、にぎわいを対象とし、まさに市政全般にわたってICTを導入しようとしています。当面の具体的な取組として、RPA、認知機能計測エンジン、教育ICTを掲げています。IT、いわゆる情報技術は、行政運営はもとより、個人生活でもその利便性は欠かせないものとなっており、技術の進歩を活用することは必要です。しかし、その活用、導入に当たっては様々な問題、課題を解決することが必要です。利点ばかりじゃなく欠点もあります。そのことを明確にする必要があります。 天理市と山添村の自治体クラウドの共同化業務がスタートしました。総務省は、首長のリーダーシップの下、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とする必要があるという基本方針を示しました。ある町長は、自治体クラウドを採用しており、町独自のシステムのカスタマイズはできないと答弁したそうです。これほど露骨にカスタマイズを否定することはなくても、システムの立ち上げ時はカスタマイズを標準とすることができても、稼働途中にカスタマイズするとシステム変更に費用がかかり、いまでも予算編成の中で経費削減が厳しく言われている中で、行うことができるんでしょうか。自治体施策の統一化、標準化の誘導で、結果として行政サービスは抑制的になりかねず、地方自治の多様性をなくし、自治体の自立性を失わせることになります。自治体クラウドにより住民サービスの低下を招き、住民福祉向上を妨げるカスタマイズ抑制は行わないことが必要です。天理市・山添村自治体クラウドの構築及び六十か月の運用保守の執行予定総額は、天理市で六億三千六百三十万円です。単独で構築した場合と比較してどのくらい費用が削減されるんでしょうか。お尋ねいたします。 国の進めるAI、RPA、行政のデジタル化は自治体職員を半減させる自治体戦略2040構想に基づいたものであります。「揺り籠から墓場まで」と言われてきたように、自治体の窓口は、住民の出生から死亡まで、人生や生活の重要な場面において、憲法に基づく基本的人権を保障するために住民を最善の行政サービスにつなぐ役割を担っています。自治体職員はその役割を適切かつ迅速に担っています。技術進歩の導入を否定はしませんが、窓口は住民と職員が直接対話できる生活相談と一体となっていることを忘れてはなりません。AIだけで完結することはできません。AI、RPA、行政のデジタル化による相談、住民福祉、住民サービス向上の方針を明確にする必要があります。たとえば、窓口業務が削減された人員で相談業務の充実を図ると言われるが、具体的にその方針がなければ分かりません。どの部分を充実させようとされているのでしょうか。お尋ねいたします。 AI、RPA、行政のデジタル化の総経費はどのくらい必要と見積もっているのかお尋ねいたします。 また、デジタル化による情報の集約化は、マイナンバー制度によってマイナポータルで情報をまとめようとしています。マイナンバー制度の分散管理による安全性を揺るがすものとなっています。利便性の高さはドコモ口座の不正引き出し事件で問題となりました。個人データが集約され、本人の知らないところでプロファイリングやスコアリング(格付)される就活生の内定辞退率算出販売問題が明らかになりました。公共利用であっても「自己情報の自己決定権」を保障する制度の確立が必要です。個人情報において、自己情報の自己コントロールは権利として認められています。 公共施設などの最適化は、住民福祉、利便性の後退にならないか、住民と関係者の理解と納得を得る必要があります。 扶助費等の適正化は対象条件を狭めることになり、住民負担の増加と住民福祉の後退を招く題名詞として使われてきました。適正化の名でこのようなことは行わないこと。 介護福祉の中で、市民ボランティアの活用が言われています。住民の共助は必要ですが、住民参加に専門性を確保すること、市民ボランティアと専門性を持った人が対応するそれぞれの役割を明確にする必要があります。 市民参加のまちづくりには、起案のときから情報の共有、公開が欠かせません。起案のときからの情報公開を原則とすることが必要です。 奈良県毎月勤労統計調査で、事業所規模五人以上の九月分の現金給与総額は二十二万三千二百四十二円で、前年同月比二・二%減、八月分は五・三%減です。二〇一九年は前年比一・八%減となっています。消費税増税と新型コロナ感染症拡大による消費不況が暮らしと営業に深刻な影響を及ぼしています。このような中で、住民の暮らしを支える施策の充実が来年度予算編成の中心に求められています。 以上の事項についてのお考えをお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) では、荻原議員の御質問にお答えさせていただきます。非常に多岐にわたりますうちの新型コロナ対策の就学援助に関するところについては、教育長から答弁をさせていただく点、あらかじめ御理解いただけたらと存じます。 それでは、順番に御説明をさせていただきます。 まず、第八期の介護保険事業計画等についてでございますけども、現在十二月二十一日からのパブリックコメントに向けて準備をしていっているところでございます。 ケアプランの有料化、二割三割負担の拡大、要介護一、二の総合事業移行等につきましては、九月議会でもお答えさせていただきましたが、国で検討が行われているところで、私どもとしてはその状況の推移を注視していくということであります。また、インセンティブ交付金については、今年度から公的保険制度における介護予防の位置づけを高めるために、これまでの保険者機能強化推進交付金に加えまして介護保険保険者努力支援交付金が創設されて、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価することで配分基準のめり張り化を強化することが目的とされております。高齢者の介護予防・健康づくり等に必要となる取組については、本市としてもなお一層進めていきたいと考えております。 そして、介護保険料の単独減免の実施でありますが、社会全体で支え合う社会保険制度の趣旨によりますと、何人へも応分の負担を求めているところでありまして、保険料単独減免に対して厚生労働省が禁止を指導しております三原則として「保険料の全額免除」、「資産状況等を把握せずに収入のみに着目した一律の減免」、そして「保険料減免分に対する一般財源の繰入れ」とされております。他方、所得の低い方に対しまして、平成二十七年度より第一段階の方を対象に一部実施し、さらに令和元年十月の消費税率一〇%引上げに伴いまして第一段階から第三段階までの方を対象に、段階的に昨年度から本年度にかけまして減額措置を実施しております。なお、コロナ禍において所得が一定程度減少した第一号被保険者につきましては、減免制度が設けられ、実施をしているところでございます。 次に、第八期介護保険料の抑制を目的に、基金からの繰入れをしてはということでありますが、県内他市の状況を見ましても、やはり事業規模の約一割程度は基金積立てをされております。これを本市に直せば、約五億五千万円の積立てが必要でありますが、現在の基金残高は三億五千万円とおおむね六割程度にとどまっております。二〇二五年に団塊の世代が後期高齢者になる問題やその先のことを考えますと、全額基金を取り崩してしまって保険料を一時的に下げていくというのももちろん一案でありますが、やはり健全な介護保険財政を維持していくことが重要であると考えております。 次に、計画策定に当たってのニーズ調査でありますが、その結果、県の実態調査によるデータを基に介護保険事業等推進協議会において活発な議論を行い、第八期の事業計画においては認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホームの整備を盛り込んでおります。また、高齢者の住まいの安定的な確保の観点から、現状の把握、分析をしっかり行った上で施設整備について考えていきたいと存じます。 その中で、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」の家賃、食費などの生活費についてでありますが、これは原則として自己負担していただく必要があるわけですけども、経済的に困窮されている方については、まず生活保護制度がございます。そして、「特定施設入居者生活介護」、これは介護サービス付きの指定を受けた「有料老人ホーム」等でありますが、そちらについては、所得が低い方には居住費と食費の負担を軽減する制度というのがございます。 続きまして、小規模多機能型居宅介護及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護でありますが、こちらは両方併設した施設を山の辺校区に設置いたしました。これによって小規模多機能居宅介護事業所は七か所に上りまして、市全域でほぼ整備はできている状況だと思っておりますけれども、今後についてはニーズ等を考慮して検討していきたいと存じます。 そして、医療連携については、市内の医療機関五病院、居宅介護支援事業所二十二事業所、小規模多機能型居宅事業所六事業所、地域包括支援センター四か所に参画いただきまして、看護師や社会福祉士などの病院関係者及びケアマネジャーが入退院時に連携を図ってスムーズな入退院を行うためのマニュアルを策定しております。引き続き切れ目のない医療サービスと介護サービスの連携に向けて取り組んでまいります。 続きまして、総合事業対象者の弾力化に関する介護保険法施行規則の改正に関しましては、本市では現在、対象となる総合事業において、住民主体のサービスなど市補助により実施されるサービスは実施していないところであります。今後、本事業を実施する場合には、改正省令の趣旨に基づきまして、御本人の希望を十分踏まえたサービス利用を支援していきたいと考えております。 続きまして、自立支援についてですけれども、これは介護保険制度の基本的な考え方として本人のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質向上に資する重要なものだと考えております。現在策定中の八期の計画の目標設定に当たりましては、交付金申請の目的のために設定をするというのではなく、本市における高齢者の自立支援につながる施策やサービスを必要とする方に適切なサービス提供に関する進捗管理を行っていくということで目標設定を行いたいと考えております。 続きまして、国民健康保険制度について、県単位化でありますけども、これは基本的には将来的に安定した財政運営の下で国民健康保険をしっかりとやっていかなければならないということで、単独でありましても将来的に伸びが避けられない中、それを安定的にやっていこうということの中、国保の法律第四十四条及び国通知に従いまして、いま運用されているところでございます。本市にいたしましても、一気に県の基準のところに上げるのではなく、段階的な形で引上げを行ってきているというところであります。本市といたしましては、保険料及び一部負担金の減免については、県単位化の方針に基づいた減免基準で対応していくところでございます。 続きまして、生活支援事業の進捗状況でありますが、当初の計画では本年度に自立支援協議会、障害者福祉団体連合会、各事業所等の関係者から御意見をいただいた上で、秋頃をめどに委託に向けて計画しておったところでありますが、コロナの影響もございまして、予定しておりました外郭団体との会議等もなかなか開催できなかったところから、スケジュールとしては遅れております。現在の進捗状況としては、本年六月に自立支援協議会を開催いたしまして、緊急受入れ機関や制度の周知の方法等、課題や留意すべき点を聴取したところでありまして、それを受けて七月に障害者福祉団体連合会への御説明を行いました。六構成団体に協議検討いただいた後に、九月に医療的なケアを必要とされる方への対応や市内事業者では対応できない状況についての御意見を関係者からいただいたところでございます。現在、これらの御意見を参考にしながら各事業者への調査の準備をしているところでありまして、その結果を踏まえて来年度に整備ができるかを検討しているところでございます。そして、こういったやり取りについては、これまでの自立支援協議会や福祉団体連合会の皆様からの御意見、要望をいただいて調整しておりますので、市内事業者への調査についても公平公正な形でしっかりと行わせていただきたいと思っております。 また、圏域でということにつきましては、市内で一か所拠点整備する方向でこれまで検討してきておりますが、実際に運用に向けた段階で、やはり市内だけではどうしても対応できない事例が生じた場合のこともございますので、必要に応じてこれも検討していきたいと考えております。 続きまして、新型コロナの関係で市税及び市の料金等の引上げを行わないようにという御質問でございますけれども、市税については、地方税法に基づき賦課徴収を行っているところで、市独自の税率の引上げは行っておりません。令和三年度についても引上げの予定はございません。また、十二月の与党税制調査会において、固定資産税については、新型コロナウイルスの影響を踏まえて、令和三年度に限り地価の上昇に伴う増額がある場合には据置きとされております。地価の下落による減額の場合は引き下げるようにということで、来年度の税制改正大綱が決定されました。通常国会においてこの改正案が成立いたしましたら、商業地、住宅地ともに地価が上昇した場合でも固定資産税は据え置かれる見込みでございます。また、保育所及びこども園の二号・三号利用者の保育料や副食費、こども園の一号利用者の給食費についても現在引上げの予定はございません。 次に、国民健康保険料についてですけれども、これまで被保険者の高齢化、医療の高度化、高額新薬の承認などの影響で、保険料を激変緩和のために上げざるを得ない状況でございまして、引上げを行ってまいりました。今後、令和六年度の保険料統一に向けて検討していくことになります。そして、介護保険料の改定につきましては、先ほど来お答えをしているところでございますが、第八期の計画において持続可能な介護保険事業の運営に向けて最低限の保険料上昇に努めているところでございます。ただし、そこにおいて新型コロナ対策に関連した形での介護保険料の引上げがあるわけではございません。 続きまして、新型コロナ感染症の影響で収入が減少した方への国保、介護保険の減免についてでございますが、これは令和三年三月末まで受け付ける予定となっております。それ以降の対応につきましては、国の方針をしっかりと見ていきたいと考えております。 傷病手当金の個人事業主への拡充でありますが、「傷病手当の対象者を被用者のうち、コロナウイルスに感染した者、また発熱等の症状があり感染が疑われる者」とされておりまして、個人事業主については支給対象にはなっていないのが現状でございます。 続きまして、減収補填債につきましてですが、法人事業税等が当初見込んでいた額を下回る場合に発行できる特別な地方債となっております。対象税目は法人市民税の法人税割額及び利子割の交付金、法人事業税交付金となっております。本市では対象税目の総額が三億円弱でございまして、コロナ禍の中、課税額が減少している事業者もありますが、市全体の収入見込みでは当初予算額を下回る見込みとはなっておりません。したがいまして、住民サービスに与える影響は直ちにはないということで、現時点では減収補填債を活用する予定はございません。また、特別減収対策企業債につきましては、新型コロナに伴う減収により資金不足額が生じた場合に発行可能となるものでありますけども、今年度は資金不足額が生じない見通しであるために、対象とはならないものでございます。 続きまして、新型コロナの関連で対応いただいております従事者の皆様への慰労金については、国においても、昨日の報道でも拡充ということでございます。本市においても今後の新型コロナ対策全般の中でさらに何をすべきかは考えていきたいと存じます。 そして、次の学生支援は教育長の方からお答えさせていただきまして、ただ、学生の皆さんについては、私どもも天理まなび支え合い塾という形で実際に支援を行っているところは御理解いただきたいと存じます。 また、次の自粛、閉じ籠もりによる生活後退でありますが、午前中の答弁でも一部お答えさせていただきましたけれども、STEP体操の映像配信、DVD配布を行うなど、自宅でも行える健康づくり、介護予防に取り組んでいただけるような対応をしております。そして、感染対策を講じた上で、いま徐々に通いの場が再開してきているところでございますが、私どもとしてもどういう対策を取ればいいのかというところで地域主導の取組を支えていきたいと考えております。 続きまして、水道広域化についてであります。現在、令和三年一月に覚書の締結、その後、統合に向けての協議検討が進められ、基本協定の締結、企業団の設立、令和七年度から企業団での事業開始という流れになっておりまして、基本協定の締結時というのが法律で定められた形の参加不参加の意思決定となっているわけであります。市民の皆様にとってやはり水道料金がどうなるかが一番重大な関心事であろうと思うわけですが、現在の県のシミュレーションでは、本市単独で経営するよりも統合した方がかなり安いというのが示されている状況でございますのと、本市の水源の約半分が県水で賄われているという状況であります。そして、覚書に締結しない場合に、今後の議論に参加ができないとされておりますので、中長期的に市民生活により負担をかけない道を私どもとしては探っていかざるを得ないと思っております。 しかし、先ほど議員から御指摘がありましたように、財政シミュレーションの中でもまだまだ精査を要するところはあると思っておりますし、あるいは水道管の補修更新についても、どのように地域間で公平性が担保されていくのかというところもございます。本市についても、災害時も含めまして、地域の事業者の皆様方に安全確保で多大な御貢献をいただいているわけでありますが、皆さんがきちんと安心できる発注体制になっていくのかどうか、あるいは私どもの仲間であります職員の身分がどうなっていくか、これらについてはやはり今後きちんと整理されていかなければならないポイントでありますので、そういったことを総合的に判断した上で、最終的には基本協定の締結時に参加するのか、不参加となるのかということになってまいろうと考えておりますが、いまの時点で参加の道を閉ざしてしまうというのはなかなか難しい判断ではあると思っております。 また、災害時の自己水の確保は非常に重要でございます。統廃合後すぐに廃止するということではなく、耐用年数等を考慮して本市の浄水場を有効活用していただきたいということを申し出まして、豊井浄水場は令和二十一年、杣之内浄水場は現在施設の更新中ですので令和三十年以降まで使用を続けられるとなっております。杣之内浄水場は市内十二か所の深井戸を水源としており、杣之内浄水場を使用し続けている間は井戸についてもしっかりと維持していきたいと考えております。 そして、財政シミュレーションについてもう少し補足をさせていただきますと、現状の投資ペースで年間百十億円を、事業統合により全体最適化を図っていった場合、仮にこの百十億円が百六十億円を超えた場合でも、いまの投資ペースで単独経営を続けるよりも料金の上昇は抑制されるという形でシミュレーションが組まれているわけでございます。 本市においても、水需要の減少により料金収入は漸減傾向でございまして、一方、老朽化施設の更新投資等が必要でありますので、今後水道料金を全く上昇させないことは難しい場合であります。単独で経営した場合と統合した場合の供給単価が、令和七年度では単独の場合が一立方メートル当たり二百三十一円に対して、統合の場合が百八十七円。令和三十年度では単独の場合が三百六十二円に対し、統合の場合は二百三十七円となっておりまして、県内自治体によってもそれぞれ差はあるわけでありますが、本市については相当の差がございますので、仮に百六十億円ペースが実際にもう少しかかってくることになった場合においても、容易にこの金額がひっくり返るかどうかは難しいところだと思っております。 しかしながら、先ほど御指摘ありましたとおり、施設の除却費等まだまだ精査が必要なところはございますので、本市としてもしっかりと指摘はしていきたいと考えております。 また、一体化による国庫補助については、最近は一〇〇%交付されていると伺っているところでございます。そして、水道事業への繰入金ですけども、これは国から示される地方公営企業繰出金の基準に基づいて算定された額を一般会計から繰り入れているものでありまして、覚書にも記載があるんですが、統合後もその負担は継続されるものとなっております。また、余剰金については、水道事業活動に伴い、生み出された資産等は企業団に全てを受け継ぐものとなっておりまして、これが一部自治体については問題になっているところでありますが、本市については基本的にこの考え方に、統合の場合は沿っていく形になろうと存じます。 そして、続きまして予算編成方針についてでございます。その中でデジタル化について多くの御指摘をいただいたところでありますが、これは午前中にもお話をさせていただきましたけれども、本市が今後、持続可能な形で行政サービスを守っていくためには、限られた財源、人員を最大限に活用していく中で合理化していくことが非常に大事だと思っておりますし、それが市民の皆さんの利便性を向上させ、また職員の働き方改革にもつながっていくものだと思っております。 山添村とクラウドを一緒にやらせていただくわけでございます。その際についてカスタマイズに言及いただきましたが、これは使い勝手の点だけでカスタマイズをしているようなものはもちろん標準化をしないといけないわけですけども、それぞれの自治体で工夫をしておる福祉施策等の取組をカスタマイズしないがために否定するという趣旨では全くないと考えておりまして、私どもとしても今後、様々な扶助費等も持続可能なようにやっていかないといけないわけですが、デジタル化を理由として住民サービスを低下させていくということは全く考えておりません。そして、経費でありますけども、これはおおむね四〇%程度、令和元年度と比較すれば削減が可能だと思っておるわけでございます。じゃあどういう状況になれば対面が充実するのかという御指摘もいただきましたが、RPAを先駆けて行いました税務課におきましても、やはり職員がこれまで手作業でやっていたところを自動化できることによって、窓口で応対させていただく時間に余裕を割くことができたという成果が出ているわけでございます。なので、午前中と同じ例えで恐縮ですけれども、たとえば保育所の申請についても、第一希望から順番に書いていただいたそれを、誰か職員が、いままでだったら全部データに手入力していたわけです。それを全部集計しないといけなかった。こういうようなことが、デジタル化でしたら、そもそも申請される方が最初にデジタルで登録いただきますので、いちいち手入力する必要はありませんし、状況がどうなっているかというのもリアルタイムで分かることができる。そういうものを踏まえて、そうすると相談業務についてもこれまでよりも余力が生まれてくるだろうというような形での好循環をしっかりとつくっていきたいと思っております。 どのぐらい予算がかかってくるのかということですが、これは電子決裁システムを導入するかどうかで大分違ってまいります。仮にそれを含めるとなると、やはり一億円台はかかってくると思っておりまして、五年間のランニングコストも含めれば大体一億五千万円から二億円の間にはなってまいりますが、将来的に本市がしっかりと回っていくためには、地方創生交付金などもうまく活用する中で工面できるように対応していきたいと思っておりますし、いまこの問題に着手したとしても、実際に効果が出てくるのは令和五年度以降だと思っております。令和四年の最初からデジタル化が始まって、直ちに人員を再配置できるわけでもありません。しっかりと運用して、いまのペースでやってもそのぐらいからしか改革効果が出てこないということを考えると、やはりできるだけ早くこの問題には着手していかないといかんのだろうと思っております。 また、デジタル化することにおける機密の保全はもちろんでございます。ですので、本市につきましてはLG‐WANの閉ざされたシステムの中で情報は取り扱っていく。市民の皆さんに入力いただいたものについては総務省等に認定されたしかるべきゲートウエーを通って入ってくるというような形で、安全対策については万全を期していきたいと思っております。 次に、公共施設の最適化であります。これも重複しますけれども、いま所有している公共施設を全て将来にわたって維持していけるかというと、それは難しいわけであります。ただ、維持管理ができないからこの施設を閉めますか、どうですかということだけを議論していると、すなわちそれはハードとソフトを常に結びつけてしまっているわけですが、廃止になったときに市民サービスそのものがなくなっていってしまう。それはこれまでも福祉センターであったり、いろんな議論のときに出てきた問題であろうかなと思っております。その中で私どもが目指すファシリティマネジメントは、使われる市民の皆さんの目線に立って、どうすれば市民サービスを守っていけるのか。その中で、必要面積を合理化できるところについては合理化していくことが将来にわたってしっかりと市民サービスを守っていけるものになると考えております。これまでの取組の中でも、かつて学童保育所は学校施設と全て切り離すのが当然だとされておりまして、そういうふうにしていくと、一か所ごとの整備費がすごくかかっていってしまう。それを、余剰スペースを活用することで、この七年ほどで倍にできたというところもございます。しっかりと削減する、それが利便性の後退につながらない形でやっていきたいと思っておりますし、それを市民の皆さんに理解していただくことが非常に大事だというのは私も完全に同感でございます。 扶助費の適正化も、これは真に助けが必要な方に必要な支援が提供できるようにということでございますので、扶助費の対象をこれまで以上に限定するという考え方ではなく、規定された条件に合致していない形での受給等があった場合には、やはり申請内容等の確認を徹底していこうということでございます。介護福祉の中での市民ボランティアの皆さんの役割は非常に大きいと思っておりますが、もちろん専門性が必要なものについて専門知識を有していない皆さんにやっていただき、それが利用者の方に危険を伴うようなことがあってはいけませんので、その点は議員が御指摘のとおりだと思っております。 市民参加のまちづくりについては、起案のときから情報公開を原則とすることという点については、できる限り、我々もまちづくりの結果として市民の皆さんに喜んでいただけるかどうかということでありますので、全く考えついたときから全てを共有できるかというと、時に難しいこともございますが、市民目線からそれが粋になるのかは聞いていく姿勢で物事を進めたいと思っておりますし、なればこそこれまでもまちづくりの協議会や様々な形で市民の代表に参加していただく。このことは、第六次総合計画を策定していったような際にもしっかりとやらせていただいたと思っております。 また、コロナの関係で今後、国の補正等の状況も注視していく必要がありますが、その影響を少しでも和らげ、暮らしを支える施策のために来年度予算編成をやっていきたいという点については、私どもも同じ考えでございます。 長くなりましたが、以上でございます。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 荻原議員御質問の就学援助拡充、給付型奨学金等の実施についてお答えいたします。 まず、本市教育委員会におきましては、就学援助費のうち新入学児童生徒学用品につきましては、令和二年四月入学の児童生徒から増額を行ったところでございます。国の基準はあくまでも要保護児童生徒の基準であり、国と同一の額でないから齟齬があるというわけではなく、また修学旅行費については国の要保護児童生徒の基準を上回る設定をしていることから、現在の準要保護児童生徒に対する援助としては充実を図っているものと考えています。 また、給付型奨学金に関してでございますが、今年度から私学高校就学支援金が支給額の引上げにより充実が図られました。さらに、生活保護世帯、住民税非課税の世帯に対して授業料以外の負担を支援する高校生等奨学給付金という制度もございます。 このような状況に鑑み、御指摘の給付型奨学金制度の創設については、現在考えておりません。なお、新型コロナウイルス感染症についての本市独自の対策としまして、期限つきではございますが、天理市内に居住する大学生及び天理市内の大学に通学している大学生が講師となって、受験を控えた中学三年生に無償で学習支援をする「天理まなび支え合い塾」を九月より来年二月まで開校し、指導員として雇用することにより現在大学生の支援を実施しているところでございます。 ○議長(大橋基之議長) 荻原議員。 ◆十三番(荻原文明議員) それでは、再質問を行います。 まず、介護給付費準備基金の取崩しの件ですが、説明したように、発足当初からの原則は三年間で基金も含めて精算して、貯金、預金といいますか基金はなくすというのが運営の原則であります。次期の三年計画についても、保険料設定というのは基金の取崩しを前提にして介護保険料の料金設定はしていないはずなんです。そのために、たまたま基金という名前で初年度の黒字分を積み上げているというだけの話で、初年度に積み上げして、それを取り崩して三年間で精算するというのがもともとの介護保険の運用の基本原則なんです。ですから、もし三年目に基金残高があれば、それを保険料等に翌年度に使い切るというのが原則となっておるわけですから、そういう原則に基づいて運用するとすれば、本市で言えば五億円が標準の基金残高だということは、運用上も積み立てる必要はないと思いますので、改めて取崩しについてお尋ねいたします。 それから、国民健康保険についてです。一点、本市は現在、一か月の短期証は要綱に基づいて発行していないわけなんですが、奈良県は一か月の短期保険証を発行しなさいという中間見直しを行ったわけなんですが、一か月についてはあまりにも短過ぎるという視点から、短期証そのものを発行していただきたくはないんですが、本市の現在の要綱に基づいて、最低限一か月の短期証はこれからも発行しないでいただきたい、この点についてのお考えをお尋ねいたします。 地域生活支援拠点等整備事業については、三年計画では今年度が最終年度になって、その計画からいくと、本来今年度中に整備しなければいけないわけなんですが、もともとの親亡き後の生活をきちんと確保するという視点から言えば、それを担保するにふさわしい拠点整備事業が必要だと思いますので、多少遅れたとしてもやっぱりきちんとした、充実した対応ができる事業をするために取組を強めていただきたいと思います。 それから、新型コロナウイルス感染症対策の問題で、高齢者の自粛や閉じ籠もりによる生活後退状態悪化については、これまでも新型コロナウイルスに限らず高齢者が社会的にどういう関わりを持つかによって健康寿命や認知症の発症に大きな差が出るということが、千葉大学の先生による高齢者総合的機能評価などの三千人、一万人の実地調査で実験的に明らかになっております。そういう点からいっても、天理市としては何人閉じ籠もりや生活後退の状態が悪化されているか、何人いるからこうしなければならないという観点なんですが、閉じ籠もりや状態悪化になっている側から見れば個人の問題なんです。ですから、一人ひとりに対してどのように包括支援センターが対応するのかどうか、その辺はちょっと分かりませんが、一人ひとりに対してどういう対応をしたらいいのかを明らかにしていく上でも、やっぱり実態把握をする必要があるのではないかと思いますので、これはいろんな方法があるかとは思うんですが、少なくとも一人ひとりの実態を明らかにして、それに個別の対応をするような方針を出していく必要があるのではないかと思いますので、この点について改めてお尋ねいたします。 奈良県水道の広域化については、結局先ほどの御答弁でも一月に覚書を締結されるのかということは明言されていないと思いますので、この点については覚書を締結されるのかどうか、一月に迫っているわけですから、明言していただきたいと思います。 それから、行政のデジタル化の問題をるる説明していただいて、たとえば税部門でRPAを導入して、窓口での相談業務あるいは窓口対応の余裕ができたとおっしゃられたのですが、現在はそうだと思います。ただ、窓口対応する余裕ができたのであれば人員削減につながらないか、その点をお聞きしているのです。先ほど申し上げたように、国は2040構想で職員を半減させるのだと言っているわけですから、それに乗っからないで、市長がおっしゃるように、現在の職員数、あるいは窓口にしろ、ほかのサービスにしろ、行政サービスを後退させないデジタル化によってできた力の振り分けは十分充実させる方向で行っていただきたいということをお聞きしているのであって、その点についてのお考えを改めてお尋ねいたします。 それから、先ほどNTTとの行政全般にわたっての協定を結んだということが明らかになっているわけですが、十年、二十年先、三十年先になるか分かりませんので、そんなことは分からんと言われたらそれまでなんですが、デジタル化のRPA、AIを導入する総経費は大体何十億円とか何百億円とかそういうスケールのものなのかどうか。要するに、それだけのデジタル化をして市民サービス、窓口での対応が良くなった、それはそれでいいんですけど、そのために何十億円、何百億円かける、いわゆる効果と費用の問題をお聞きしているのであって、将来永久に続くわけですから、AI、RPA、行政のデジタル化をしていく総計費を、もし分かれば大体このぐらいの想定をしているのだということをお聞きしたいと思います。 それから、情報公開の件、情報の共有についてお尋ねしたいのでありますが、むしろ情報なくして参加なしということですから、情報公開条例の意思形成過程条項を基本的には削除していただきたい。この点について改めてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ただいまの更問にできるだけ簡潔にお答えしますが、やはり他市の積み立て状況を考えても、完全に基金がゼロになってしまうのは将来的な安定した介護保険の維持の上ではちょっと問題ではないかなと思っております。 次、一か月の短期証については検討しておりません。三か月ということでいまもやっておりますが、基本的にこれを維持していこうと思っております。地域生活支援事業についても、担保するにふさわしいところをきちんと公平公正に選んでいくことが重要だという点は、私も全く同感ですので、拙速に今年度中にこだわるつもりはございません。 そして、高齢者の皆さんの認知症やフレイルのことを考えても、通いの場をしっかりとつくっていくということが非常に大事だと、絆づくり、支え合いということでこれまでもやってきております。この実態把握、プライバシーに非常に関わる問題なので難しいところがございます。いままで本市であるものでいえば、たとえば介護の認定を申請されてこられる方に認知症がどのぐらいのパーセンテージで傾向が見られるかということは分かりますし、それでいっても大体いま五%ぐらい認定者が増えておりますが、半分以上に認知症の傾向が見られるというのが、これまで活脳教室をやっていくに当たっても分かっております。なので、そういう状況も踏まえながら、ただ、無理に高齢者の皆さんに外に出てきてくださいと強制することはできませんので、自主的に通いやすいような場をつくっていくことが非常に大事だと思っております。 次に、水道の覚書でございますが、覚書自体については署名せざるを得ないと先ほどのお答えの中でも言ったつもりであったんですけれども、最終的に本市が参加するか、不参加するかという法律上の意思決定は基本協定時になってまいります。ですから、総論として広域化が必要であろうということであったとしても、しっかり財政シミュレーションがどうなっていくのか、あるいは公平公正な形でちゃんと補修が進んでいくとか、市町村の意思決定プロセスにきちんと参加していけるのだろうかとか、あるいは地域で御活躍いただいている事業所の皆さんも安心していただけるような形になっているのか、職員の身分についても安定しているのか、こういうことをきちんと総合的に判断した上で、この基本協定時に考えていかないといけないということですが、初めから蚊帳の外になるというところも難しかろうということでお答えをさせていただきます。 デジタル化については、人員をむやみに削減するためにこれを進めていくという考えはありません。しかし、この数年間で見ましても、寄附金減、あるいは財政状況を見まして、新規採用については当初考えていたよりも実際に絞らざるを得ないのが現状でございます。ですから、非常に職員一人ひとりにかかる業務負担というのも、心苦しいですが増えてしまっているのが現状の中で、しっかりとやりくりをしながらできるだけきめ細かい行政サービスを守っていくための手段としてこのデジタル化があるんだということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。 情報公開については、意思決定が適切になされていく過程のものについて、どこまで公開していくかはきちんと法律、条例の趣旨に基づいてやっていきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 次に、一番、仲西 敏議員。     〔一番 仲西 敏議員 登壇〕 ◆一番(仲西敏議員) ただいま議長の許可を得ましたので、通告書によりまして一括質問方式で一般質問をさせていただきます。市長並びに関係各位の御答弁をよろしくお願いいたします。非常に多岐にわたりますので、質問の方も簡潔にまとめさせていただいて質問させていただきます。 まず初めが第一点、公共施設マネジメントでございます。これも私、何遍も議会で質問させていただいております。特に質問したいことに絞らせていただきます。公共施設マネジメントは老朽化対策ということで国の方でそのような通達が出ておりまして、法律もかように変わっております。一つは、試算をいろいろされていると思うんですけども、仮に将来にわたる公共施設の維持管理費用で本市の財政状況と乖離した試算結果が出るかどうか分かりません。その辺が、財政負担のところでございます。現状の公共施設をこれからも維持し続けることは大変厳しい、これは当たり前のことでございます。ダウンサイジング、人口ビジョンに適合した公共施設の在り方について市長のお考えをお尋ねしたいと思います。 次に、人口減少社会の中で老朽化問題、更新問題に対する施策は非常に急務でございます。今後実効性のある取組について市長の所見と、個別施設計画作成の工程表についてどのような方向で取り組まれるのか併せてお聞きします。それと併せて、公共施設マネジメントを推進する中でデータの一元化を図り、検討体制を確立した上で、庁内の内部意識の醸成を進めることが非常にポイントになるかなと思います。本市における推進体制についてどのようにお考えなのかお聞きしたい。 続きまして、二点目でございます。行政改革、本当に改革、改革ということで、本市もかねてから行革を進められております。特に財政面で本当に大変な状況でございます。総人件費の削減、組織機構の見直し、官民の役割分担の見直し等々、方針を立てられております。直近では「財政構造改革2019」を立案されまして、令和十年度までの十年間を大きく三期に分けて取り組んでおられます。その現在時点での成果と今後の見通しについてお尋ねさせていただきます。 三つ目、市政運営に係る新たな取組でございます。初めに「支え合いのまちづくり」、これは市長のキャッチフレーズでございます。私も同感でございます。国の方では、ちょっと古いんですけども、二〇〇三年度に第二十七次地方制度調査会「今後の地方自治制度の在り方に関する答申」の中で触れられております。新たな住民組織、いわゆるNPO法人も含めまして相互に連携して新しい公共空間を形成していくことを目指すべきであると、そういうふうにまとめられております。 近年、改めて地域のコミュニティレベルの住民自治の拡充が注目を浴びております。これには全国で本当にいろんな取組をされております。その辺のキーワードは二つ、住民の参加と協働であります。これについては、たとえば、成熟した住民自治環境を実現するにはですが、東京都の方でユニークな取組をされております。東京都杉並区は住民のいろんな仕組みづくりをつくって地域リーダーをどのように育成するのかというところを、そういう学校もこしらえて住民の自治に向けての啓発とリテラシーを身につける育成に踏み込んでおられます。また、多摩市では、市内の市民活動団体のいろんな取組を支える仕組みづくりが一つの地域のインフラとして、そういう視点の中で捉えられ、行政と住民とともに活動に取り組まれております。持続可能な「支え合いのまちづくり」には、地域コミュニティレベルの住民自治の拡充がベースにあって、住民の参加、協働の意味するところは自治体経営の住民参加の実現にあると考えますが、市長の見解をお聞きいたします。 それから、経済財政運営改革の基本方針は、ウイズコロナからポストコロナと、必ずコロナは終息を見ると思うんですけど、時期は分かりません。それに向けて国は新たな基本方針を立てられております。地方自治体、本市においても国の動向をきちっと捉えていただいて、将来に向けて、経済財政対策について国・県との連携を踏まえて取り組んでいただくことを要望させていただきます。 それと、続きまして新たな取組でございます。ICTの活用促進とデジタル化、自動化及びAI、自治体クラウド、同僚議員からいろいろ質問されております。私どもがお聞きしたいのは、やはり行政改革と相まって行政の効率化が住民のメリットになるような仕組みなのかどうか。巨大な財政負担を伴うならば、メリットとしても非常に低くなるのではないか。この辺を鑑みまして、RPA、AI、IoTなどを活用した業務効率化の導入状況、今後に向けた先端テクノロジーを活用した業務効率化の取組をお尋ねしたいと思います。これについては後で再質問させていただきます。 それから、住民の利便性を目的とした住民向けサービスのデジタル化です。デジタルリテラシーについて、アナログ対応もきちんとAI-OCR用紙も使ってというようなことでございますけども、職員の負担にならないように、この辺は全部がオンラインで行かんわけです。だから、手書きも残るということで、これが全てAIで解決するなら本当にいい話なんだけど、やはり職員の方の負担を私は真っ先に考えますので、その辺も踏まえて情報化、デジタル化に向けて取組をお願いしたいと思います。 それから、成果連動型民間委託契約方式(ペイ・フォー・サクセス)という新たな取組が生まれております。本市でも活脳教室で、成果連動型で取り組んでおられて、多大な成果を上げらえておるということでございますので、本市のいろんな事務事業に関わって、この方式にのっとって今後に向けてどのように展開されるのか、その辺の方向性をお聞きしたいと思います。 続きまして、公共調達でございます。現在、コロナ禍で民間の建設受注が本当に減っておると聞いております。公共事業の割合は建設事業者にとっても非常に大きなウエートを占めるのではないか。そこら辺を考えまして、公共工事の発注元である本市が適切な規模、内容による発注を心がけていただきたい。地域の建設企業の受注の安定化を図る必要があるのではないかと考えます。市の発注体制に関しましても、発注担当職員が減少しておる。経験不足の若い職員も多い。頑張っておられますけれども、発注体制については私も非常に危惧しております。体制自体の脆弱さが懸念されており、将来にわたり持続可能な体制の確保が必要ではないでしょうか。コロナ禍対策及び市の業務デジタル化に対する入札システム、聞くところによりましたら、今度ランク替えされるのが令和四年七月と聞いております。デジタル化に向けての入札システム、事業系でございますけども、その辺の見通しについてもお聞きしたいと思います。 続きまして五番目、防災対策です。台風が今年は直接上陸しておりませんが、大雨、鉄砲水が日本全国で起こっております。本市におきましても十月九日、十日にかけて本当に急激な大雨が降りまして、二階堂地域の方では小学校が冠水、下ツ道で土手が崩れたというふうな災害がございました。その関連でございますけども、大和川、一級河川の上流域については県の管理でございますが、それを越えるところの小さい河川、用水、水路等について堆積土砂が非常にたまりまして、そこに木や草が生えておる。放っておけないんです。そのまま置いておけば、鉄砲水が出たときに浸水は避けられない状況ではないか。防災面から考えまして、河川土砂、特に市の関係するところについて、市長がこれからどういうふうに対応されるのかお考えをお聞きしたいと思います。 六つ目、産業振興、これは非常に大事なところでございます。企業立地につきまして、天理市企業立地支援条例、奨励金制度に基づく成果と今後に向けた取組をお尋ねしたいと思います。 続きまして、福住中学校の民間活用の取組状況です。令和三年四月から、御案内のとおり福住小中学校が新たに設置される。これに伴って、現在の福住中学校は民間活力を導入して地域のために活用を図ることに決定されておるわけでございますが、現在のところの事業者の応募状況、また、もしも応募がなければ、これはどのように活用されるのか。その辺も併せてお聞きしたいと思います。 続きまして、南六条町地域の工業ゾーンの話でございます。工業ゾーンということで、県の方でいろいろ取り組んでいただきましたけれども、郡山インターには京奈和自動車道が新たに接続しまして、立地についてあそこは非常に好条件の場所があるんです。過去に私も聞いたんですけども、工業ゾーン創出プロジェクト事業ということで県の方で推進されておったわけです。現状、準工業地域の二十四号線はいろいろな工場、事業者が立地されておりますけれども、その東側の南六条町地域においては何ら、田んぼがそのままというようなことでございます。その当時の経緯も含めまして、現在どのような状況で取り組まれておられるのかお聞きしたいと思います。 それから、農林業の振興についてでございます。御案内のとおり、農業従事者が本当に急激に減っております。私の知り合いでも八十歳、九十歳を超えてもされておる。息子さんはもう引退されて年金暮らし、それで農業はしていないという方が多々おられます。その圃場について私は心配をするんです。やはり一年置いておいたら草だらけ、二年置いておいたら雑木が生える。機械が入れないんです、トラクターなんかとんでもない話。もとの圃場に返るには大変な労力とお金がかかります。これは年々増える。いや、いまの段階でもそういう状況なんです。それで、担い手がないというようなことで、新規営農者も何人かおられるということは聞いておりますけども、その危機感をどのように捉えられて、今後どのように取り組まれようとされておるのかお聞きしたい。 あわせて、鳥獣害の現状と対策、課題でございます。御案内のとおり、中山間地の天理、特に山間については、昨年聞きましたら、鹿が三百五十頭、イノシシが二百五十頭、六百頭余りの捕獲が行われておる。やはり耕作したものが被害に遭うわけです。そしたら、一生懸命作っても、明くる日朝見たら無残にもサツマイモが全滅とかになってきたら、本当に耕作する者の意欲がなくなるわけです。だから、その辺のことも含めまして、獣害の現状は年々大変な状況になっておると思うんです。私も手前みそではございますが猟友会に入らせていただいて、現状山に入って、急斜面のところでいろいろ、私はまだビジターでございますが取り組んでおるんですけれども、非常に危険な作業でございます。猟友会の担い手も高齢化されて、若い方がなかなか入ってこられないこともございます。やはり獣害から耕作者を守る、現状の山里を守る、その観点で何とか市長の見解をお聞きして、何度か御支援をいただいておりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 それと、公共交通でございます。公共交通につきましては営利事業でございます。利益がないと事業者は撤退します。これは当たり前の話で、行政が支援していく仕組みで成り立っておると思うんですけれども、これはいろいろな取組が全国にあるんです。ここに私が紹介したいのは長野県飯綱町、これはデマンドバスを走らされていまして、デジタル化というかICT技術を使って非常にコストダウンされて利用者にも利便性を図られているという成功事例もございます。直近では、本県の宇陀市で大宇陀地域におけるボランティア有償バスがいま試行されております。地域の住民が組織化されて、バスの免許を持っておられる方が運転手として有償バスで取り組んでおられる。これも住民がやるんだから勝手にやったらいいではなくて、やっぱり市と地域が一体となって地域の足を確保するという結果であると私は思います。本市の急速な高齢化の進行に対する移動手段の確保と自治体の責任について、市長にお聞きしたい。 それともう一つ公共交通で、コミュニティバスです。近鉄線から北側が空白なんです。道路環境も、北大路線も二十四号線まで接続された。名阪側道もされた。これは市長の実績でございます。道路環境が変化したことを踏まえて、天理市でも前栽校区のあたりは人口が天理市の中では比較的に多くございます。過去は若い方が多かったんですけども、今後急激に高齢化、高齢者の集積場所になるんです。だから、そうなってきたときに移動手段がない、免許証返納者で移動手段がないとなったときに頼るのが公共交通のコミュニティバス、デマンドバス、デマンドタクシーも含めたそういう仕組みだと思うんですけども、何かそこに利用者がもっと増えるような仕組みを考えたら、あの辺りは大和郡山市の治道、横田町、新庄町に隣接しております。大和郡山市はコミュニティの小さい車、トヨタハイエースで十二人の乗客しか運べないんですけど、一日三回は回っている。そこがJR郡山駅に接続されておるんです。これはやっぱり市長に考えていただいて、私も回らせていただいていつも地域の方に質問を受けるんですけど、何とかならんかというようなことで、財政負担も伴いますのでなかなかすぐにはできへんよという話はしていますけれども、夢物語じゃなしに、大和路線へ接続するということは大和郡山市との広域で、一つの考えとして聞いていただけたら。市長の所見をお願いしたい。 もう一つ、大和郡山市で面白いデータがあるんです。大和郡山市総合交通戦略が本当に面白いのは、天理市との移動が多いんです。車でトップです。奈良へ行くのは鉄道で行かれる。大阪も鉄道。だけど、大和郡山市と近隣との移動は、車の利用が七四%から七八%、大和郡山市のデータでもトップです。それぐらい車を利用した天理市と大和郡山市の人の往来が多いということなんです。これは大和郡山市のデータですけど、一日六千八百七十人、この七割から八割が車で天理市を行ったり来たりしている。この実態を踏まえたら、広域コミュニティバスのニーズは大きいものと考えるんです。 最後になりますが少子化対策です。国が本年五月二十九日、コロナでちょっと影が薄くなりましたけれども、非常に大事な大綱を閣議決定されております。これは二〇二五年までの取組でございまして、皆さん新聞、マスコミ等で御覧になったことがあると思いますけども、赤ちゃんの出生されたのが八十六万人です。八十六万人しか生まれなかった。九十万人を切ってしまったんです。本当に驚きの数字が出ています。関係者は愕然としまして、初めてこういう取組に希望出生率一・八という目標を明記されました。コロナ禍の状況でございますけれども、コロナはいつかは収まると思います。今後の社会の基本になる子どもたちの明るい顔を、もっともっと多くの子どもたちが天理地域を支えるように希望しますので、国の「少子化社会対策大綱」についての市長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 仲西議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、公共施設マネジメントでございますが、議員からも御指摘をいただきましたとおり、現在保有しているものを将来にわたって全て保持していくことは極めて困難でありまして、くり返しになりますけども、市民目線に立った形でサービスを将来にわたって守っていけるように再編をしっかりとやっていくということが非常に大事だと考えております。 最近の例で申しますと、南中学校、北中学校の建替えにつきましても、将来の人口推計を想定いたしまして、今後のニーズに対して必要かつ適正な床面積になるようにダウンサイジングを図ってまいりました。そして、現在も幼保再編計画によりまして、幼稚園の遊休スペースを、できるだけ保育機能を受けられるようにというような形で進めておりますのと、後ほどまた福住中学校についても申し上げますが、まず小中一貫校により将来にわたって福住で学びの場が確保されるようにということで考えております。ただ、将来のことを考えますと、デジタル化もこれは加わってくるわけでありますが、たとえばこの庁舎一つを取りましても、六十年もつものを八十年まで延ばそうとした場合に、数十億円程度のコストをかけなければならないと試算をしております。しかし、それに当たって、じゃあ果たしてこの規模のサイズの庁舎が必要なのか。いま、このコロナ禍にあって、デジタル化が進んでいる企業でしたら、都心のコストがかかるところに非常に大きなオフィスを構える必要すらないんだということで、そこで大きく経常経費を軽減されているわけでございます。ですから、そもそも来庁される方の数も削減され、待ち時間も少なくなりということになれば、将来我々が行政サービスを守っていかないといけないために必要があるものも随分合理化されていくと思っておりますし、これが十年、二十年先の状況を考えれば、いまよりも大分削減できるのではないか、その辺りも含めて考えていく中で、しっかり前もっての予防保全にも留意をしながら公共施設マネジメントについては進めていきたいと考えております。これに当たっては、やはり職員が全体として取り組んでいくことが非常に大事でございまして、総務課内に「ファシリティマネジメント推進室」を設置しているわけでございますけれども、全庁一丸となって取り組んでいきたいと考えております。ですから、同じ人口であったとしても、恐らく今後の技術をどれだけ有効に活用するかで必要となる面積は随分変わってくると考えております。 続いて、行革の取組についてであります。総人件費の部分については財政構造改革2019以降、約三億円人件費を削減し、そして様々な事業見直しを行っていき、全体では四億円を超える成果を達成したわけでありますが、市本議員の質問のお答えにもありましたとおり、これはコロナ前の状況でございます。コロナによって税収が厳しくなる、寄附金についてもますます厳しくなるということを考えてまいりますと、なお一層の努力が必要であると考えております。 その中で「支え合いまちづくり」が極めて重要でありまして、市民の皆さんの参加、協働がその根本になってくるというのは議員御指摘のとおりであります。私どもが進めております活脳教室、STEP体操をはじめ、介護予防の取組あるいは子ども食堂等々を見ましても、やはりそこに市民の皆様自らがリーダーとして参画いただいている。そして、物によって専門的な知識も必要でありますので、しっかり最初の育成の部分において我々も関与させていただき、皆さんが自立して活動いただけるようなコーディネートや橋渡しをやっていくのが非常に重要だと思っております。活脳教室についても、なぜ続けていただいているんですかとお伺いしますと、サポーターの皆さんとの会話が楽しいからというのが非常に大きいです。天理まなび支え合い塾もやっておりますが、中学三年生の数が減っていかないかを懸念していたのですが、減らないんです。それは大学生の皆さんが自分に近い目線で関わってくれるということが非常に大事なんだろう、そういう意味での支え合いの輪、第六次総合計画にも柱として据えておりますが、議員から御教示いただいた他地域の例なども参考にしつつ、さらに進めていきたいと考えております。 そういった中で、国の経済財政運営についての今後の取組、ポストコロナに向けては、持続可能な社会、あるいは多様性であったりグリーンであったり、重要となるキーワードは既に見えております。我々としてもしっかりとそれを踏まえて市政運営ができるように取り組んでまいります。 デジタル化についてさらにお伺いいただきました。まず費用面、先ほど私、お答えをし忘れてしまっていた点もございますが、デジタル化にかかる費用面を、いま仲西議員からも御質問をいただきましたのでお答えいたしますと、イニシャルコストとランニングコストを含めて一億六千万円程度でいまは見込んでおります。若干の増減はあるかと思いますけども、極端に何十億円になるとかそういう規模のものではないと思っております。五年以降どうなるかですが、そもそもこのデジタル技術自体が日進月歩でございますので、恐らく五年後には全く同じソフトを更新するというよりも随分進んだ状況になっておるだろうということは考えております。まずは来年度のデジタル市役所化に向けまして、予算について議会の御承認を得られましたら着実に進めていきたいと考えております。 そして、どういったものにということであります。AIによる応答などについてもお話しいただいたところでございます。既に税務分野でのRPA導入も行っておりますが、今回我々の考えておるデジタル市役所の在り方は、横断的な業務にこれを導入していこうということであります。たとえば、転入されてきた際には、単に市民課で転入届を出していただくだけでなく、その後、保険関係、介護福祉関係、お子様がいらっしゃったら児童手当関係、保育所関係、学校関係とずっと業務が続いていく。これは出生、死亡等のときでも同じでございます。そういった際に、最初に入力いただいたものを他の部署においてもしっかりとそのまま共有していくことで、市民の皆さんの利便性は高まると思っております。マイナンバーカードを持っていらっしゃる方についてはそれで個人認証が全体にいきますし、持っていらっしゃらなかったとしても、御自宅からの入力や来庁されてのタブレット情報が行く。手書きの方についてもそれをしっかりとデータとして我々が読み解くことによって、誰も取り残さない形でのデジタル化を進めていこうと思っているところでございます。 そして、続きまして成果連動型でございます。これは活脳教室についても言及いただきました。重要なことは、パートナーとなる民間事業者にとってもそれがメリットになるかであります。なかなか行政の側の都合だけで成果指標を設けましても協力を得ることができないというところからすると、いま認知症という介護分野でも非常に大きな課題でありますところで、まずしっかりと本市の取組を深めていけたらと考えておりますし、もし今後ともこの成果連動型でやれる分野がありましたら、それは積極的に取り組んでいきたいと思っております。 続きまして、公共調達という入札等に関する御質問でありますが、私ども、これまでも地域優先の発注に努めております。工事請負業者選定における地域要件についても、入札参加資格における格付けで「天理市内に本店又は営業所を有する業者」について行うこととしておりますし、また、建設工事における指名業者の選定でも、「地理的条件」について留意することとしております。これは、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に係る通達で、地域の建設企業が減少・小規模化によって、将来にわたり持続的に社会維持の役割を果たしていくことが困難にならないように入札や契約方式を工夫せよというふうになっているわけでございまして、本市については地域の建設企業で対応できない工種の工事や特殊な技術が必要とされている一部のものを除きまして、今後も入札・契約適正化の基本原則であります「競争性の確保」には十分配慮しながら、地域優先の発注に努めていきたいと考えております。 これはなぜかということなんですけれども、やはりいざ災害等が起きたときに直ちに対応していただける健全な事業者が市内にいるかが命を守る上でも非常に重要でございます。ですから、そういった観点からも、公平性、透明性、競争性は確保しつつ、今後も着実にやっていきたいと思っております。 一方、電子入札につきましては、事業者の皆さんの手間を省くことができますので、建設工事については令和元年七月から段階的に導入を進めておりまして、令和四年の年度中には全ての建設工事の入札を電子化する予定となっております。 続きまして、河川の堆積土砂についてでありますが、国・県の管理河川については、地元の御要望を踏まえまして、今年度は布留川、真目堂川、西門川、長柄川など市内十七の一級河川三十三か所で土砂の除去を行っております。一級河川以外につきましてもやはり市で浚渫を行うことが重要でありまして、今年度は長柄川の支流や石上川で堆積土砂を除去しております。他方、市内の小河川、水路は農業用水として利用されているという部分も多いことから、日々の河川の清掃、土砂の除去など日常的な管理を各自治会、地域の皆様の御協力をいただいている点もございます。除去していただいた土砂については、自治会からのお申出により、市でも処分をさせていただいているところでございます。先般、議員自らリーダーになっていただいて、天理大学様と連携する中で、田井庄出郷内の水路を大変きれいにしていただいたわけでございまして、また引き続きそういった点でのお力添えもよろしくお願い申し上げます。 続きまして、産業振興についてであります。私ども、この企業立地支援制度の優遇措置を拡充しております。これは平成二十七年に取り組んだわけですが、それまで対象適用一件にとどまっていたのが、改正後には十七件となりまして、企業誘致の促進、雇用創出につながっていると考えております。 また、ホテル等の立地については、設置者、運営事業者が異なるなど業態が若干特殊な点もございまして、平成三十年にホテルの立地に特化した制度改正を行ってまいりました。今後、文化村の隣接するところでホテルも予定されておりますし、その他の案件も聞いておりますので、しっかり我々の制度も活用いただくことで観光振興が御一緒に図れればと考えております。 そして、福住中学校がどうなっているのかということですけれども、こちらについては令和三年から小中学校を現在の福住小学校に統合いたします。移住定住促進に力を入れ、小規模特認校制度も導入いたしましたので、一時三十名台が全校生徒だった小学校もいまは六十二名まで増えておるという状況であります。ここで小中一貫にして、九年を通しての学びを一層充実させていこうと思います。 そして、この中学校については、できる限り活性化の拠点にしたいというところと、やはり校区の皆様が慣れ親しんできた思い出深い校舎でございますので、地域のために活かしていければという思いであります。しかし、現在の市の財政状況を考えますと、市の直営で運営していくのは非常に難しいところがありますので、民間活力導入を検討する中で、令和元年十月の「町から町へ」等で広く利活用の自主提案を応募していっているところであります。現在まで十社を超える事業者から視察いただいておるわけでありますが、なかなか採算面を見通すのが難しい、あるいは全体を一つで面倒を見ていくことになると相当維持管理経費もかかるということで、まだ確定できているような段階ではありません。そして、改修費用についても全て民間事業者の御負担とした場合に、改修のめどを立てていくのが非常に難しい。そして、空き家にされてしまった場合には、むしろ空き家にもかかわらず維持管理、警備の経費などで無駄な公費がかかってしまうということで、案件によってはまた予算的な部分を議会にも御相談していきたいと思っております。今後、高原地域の活性化に資する組合せが見えてきた段階で地元校区区長会、高原地区街づくり協議会とも御相談をした上で、議会にお諮りをしながら進めていきたいと考えておりまして、いましばらくその努力を継続させていただければと思っております。 南六条町についてのお問合せであります。こちらは平成二十六年から本市を含む五市町村と県が連携して、京奈和自動車道と名阪自動車道の周辺で工業ゾーンを創出するプロジェクトが進められておるわけでございます。県・市ともになかなか厳しい財政状況でございますので、民間開発事業者による開発での市街化区域編入を目指して進められるということでありましたが、実際に県が当該地で実施された参画の意向調査ではなかなか意向のある事業者がなかったということ、そして地元地権者へのアンケート調査では、固まって御賛同いただければいいんですけども、間に挟まる形で一部の地権者が不同意であったこと、そして真ん中に高圧線も通っておりますので、なかなかそこで立地が難しいという状況もございます。当初予定しておりました工業ゾーンの市街化編入は困難であるということから、都市計画法に基づくその他の制度を活用して立地推進ができないかを再度検討されていくこととなっております。 一方、京奈和自動車道の供用開始によりまして、郡山ジャンクション付近の産業用地としての需要は高まっているのが実態でありまして、本市内においてもやはり一定の立地は、南六条町よりも少し西側になりますけども、進んでいる状況もございます。県では、県内外の企業四千社に対して意向調査も進められているようでございますので、本市としても土地の境界を事前に明らかにするための地籍調査事業を年次計画に組み入れるなど、できるだけスムーズな形で企業誘致が進むように努力をしていければと考えております。 農業従事者についてでありますけれども、こちらは、御指摘もありましたとおり、やはり高齢化、後継者不足が課題であります。今年度農業委員会調査では三百四十筆、十六・八ヘクタール強の耕作放棄地を確認しておりまして、本市では放棄地の所有者に意向調査を行い、中間管理機構の貸付け制度のあっせん等を行って、可能な限り放棄地の早期解消を進めるといった形で取り組んでおります。 農業委員、農地利用最適化推進委員により、耕作されていない農地や高齢等で今後困難であろうと予測される農地の情報収集に努めまして、新しい担い手により営農が継続されるように、「なら担い手・農地サポートセンター」と連携して取り組んでいるところであります。 認定農業者についてですけれども、現在本市では八十八名、本年度も新規で三名の認定を行いました。新規就農者についても現在認定している十名に加えて、今年度新たに三名の認定を行う予定であります。担い手確保にも引き続き努めてまいる所存であります。 ただ、その一方で、農作物への被害をもたらしてしまう鳥獣でありますが、本市の現状としてはほとんどがイノシシか鹿による被害でございます。 防除事業ではイノシシの進入防止柵の資材購入費に対しての補助を行っておりまして、本年度は下山田で国庫補助金を利用して一・八メートルのワイヤーメッシュ柵を六百メートル敷設するために現物支給をさせていただきました。 捕獲事業につきましても、有害鳥獣捕獲許可に基づいて捕られたイノシシ、ニホンジカ一頭につき七千円の補助を行い、さらに下草等の森林の植生を保全する目的で、ニホンジカの生息数を抑制するために、雌鹿については別途捕獲奨励の補助金を出しておるところでございます。猟友会の皆さんに大変御尽力をいただいて、本市では日時、場所を限定した集中駆除・捕獲事業を行っているところでありまして、本年度は福住を中心とした山間部と萱生で二か月間取り組んでいただいた結果、イノシシ六十一頭、ニホンジカ五十一頭が捕獲されたということであります。猟友会の皆さんには大変御尽力をいただいております。会員の皆様の高齢化も進んでしまっている中、仲西議員には猟友会に入会していただいたということで心から感謝を申し上げる次第であります。 続きまして、地域公共交通についてであります。本年度につきましては東部線の再編を行いまして、これまで苣原までで止まっておりましたものを下山田まで一日四往復させていただいております。これまでのバスであれば八百円ほどかかっていたところが三百円で乗車いただけるようになっておりますので、私も毎日通勤のときに見ておりますが一定の御利用をいただいていると思っております。また、デマンド型乗り合いタクシー「ぎんなん号」につきましても、いままで東部エリアで中山間と高原が一緒になっておりましたが、よりきめ細かく使っていただけるように、そちらは二分割をさせていただきました。県内でも宇陀市の取組などが行われているのは聞いておりまして、担い手の部分と実際に乗車を希望される方とのマッチングをどうしていくか、保険をどうしていくか、こういう課題があるわけでありますが、先進市の手法を私どももしっかりと勉強させていただけたらと思っております。 少子化対策について、最後申し上げます。本市については「はぐ~る」を中心に妊娠・出産・子育てまで切れ目のない子育て支援体制を構築しようということで取り組んでいるところでございます。また、天理しごとセンターや産業振興館等と一緒に御両親への就労支援も併せて進めているところであります。安心して妊娠・出産ができる環境づくりを行うためにやはり地域の中での支え合いも大事だと考えておりまして、本市のドゥーラ事業も継続しながら、また地域の子育てに携わっていただいているグループの皆さんとの連携も深めていきたいと思っております。「デジタル市役所」につきましても子育て関係の手続に係る負担を軽減することもまた目的としておりますので、政府としっかりと連携をしていきながら、少子化対策について私どもも重要課題として取り組んでまいります。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) ちょっと時間がございませんので、再質問は絞らせていただいて、質問を何点かさせていただきます。 一つは公共マネジメント、一番のところでございまして、複合化と集約化、これも私、何遍も質問させていただいていますが、御案内のとおり、国の制度があります。公共施設を適正管理することを目的に「公共施設等最適化事業債」等の優遇措置がございます。複合化・集約化は国の一つの狙いでございますので、それをするというのは非常にハードルが高い部分もよく分かります。ただ、先ほど市長が述べられた公共施設、いまのまま使っていくということは非常に困難だという話は理解できます。ただ、いまあるものを除却するまで、壊れるまで使うのか。いや、そのまま維持するのかというふうに置き換えますが、やはり当然どこかの時点で、たとえば福住小中学校の統合のように、そういうふうな形は全国でいま集約化・複合化が取り組んでおられます。奈良県内でもそうでございます。地域の住民の直接理解と協力がなかったら非常にハードルの高い部分でございますけれども、具体の話は申しません。市長、やはりどこかでこれは取り組んでいかないと。水面下でいかれているのかもわかりません、私は聞いていませんが、その辺の方向性をもしお聞かせ願えたら。三期目を目指してそういうふうなことを聞かせていただいたらと思います。 あわせまして、デジタル化でございます。これは私もちょっといろいろ調べまして、私も役所におりましたので。要するに夢物語ではないんですよね。業務の効率化なので、業務フローというか業務改善です。これは何十年も前から、私らは先輩にいろいろ仕込まれたところでございますけども、仕事をどのようにフロー化して、その流れに無駄がないかという業務改善をシステム化し、それを効率化すること、ツール導入前にその部分が絶対必要だと私は思います。されているかもわかりませんけども、当然コンサルじゃなしに自分ら自身でこの部分はやっぱり取り組んでいく必要が絶対あると思います。そういう業務フローを可視化する。そしておかしいところが見えてくるんです。改善方法を検討することで適切な改善方法を選ぶ、そこにいわゆる自動化、RPA、AI化も含めて業務効率化に結びつける。ツール倒れをする無駄な投資が発生しないようにお願いしたい。市長のお考えをお聞きしたいと思います。 それからコミュニティバスで、私、ちょっと答弁が抜けたように思いましたけども、広域化について市長のお考えを。ちょっとこれもハードルが高いんですけども、将来、一年、二年先じゃなしにもうちょっと長期か分かりませんが、その辺を広域の中で、大和郡山市との接続も一つの方法じゃないかなというところでお考えをお聞きしたいのと、あわせて最後に鳥獣害で猟友会も入りまして、現在鳥インフルエンザが奈良県内でも発生しております。非常に県は危機感を持っています。イノシシ、鹿についても捕獲が、申し訳ないけど自粛状態でございます。鳥インフルエンザをまず収めるんだというところが最大の部分でございまして、野生のイノシシ、鹿についても県からの通達が参っておりまして、我々もそういうことで対応しておるわけでございます。 あわせてデジタル行政の中で、市長のお考えを最後に。ICTを使っていただけたらと思います。わなを仕掛けても山へ二日に一回見に行かないと駄目なんです。高齢の方は大変なんですよ。ICTがあれば、かかったらすぐに分かるんです。そんなに費用もかからないように聞いていますので、ぜひその辺のところを御支援いただけるんでしたら、お考えをお聞きしたいと思います。 以上でございます。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) まず、公共施設等最適化事業債についても言及いただいたわけでありまして、私どもも今回福住の中学校を小学校に統合するに当たっての小学校舎の改修、あるいは幼保一体化の中で南保育所及び前栽幼稚園の改修にもこの起債を活用しようということで考えているわけでございます。そこから先に、現時点で我々が直ちに統廃合を考えているけれども議会にお伝えしていないものがあるわけではございません。しかし、将来にわたって考えていけば、やはりその種は蒔いていかないといけないだろうと思っております。今回、北中、南中を改修もいたしますが、その他の学校についてもいつかの段階でやはり古くなってくるときがある。そして、いま各校区にある公民館についても、永遠に使っていくことができない。それを全ていまと同じ数、いまと同じぐらいのサイズで建て替えることができるかといえば、恐らく令和十年、あるいは令和二十年代においてそれは無理だろうという話になってしまいかねないと思っております。じゃあ、再統合するがゆえに、せっかく市民の皆さんに取り組んでいただいていた様々な活動ができなくなるんですかということになると、これは非常に後退であります。そうであるならば、いま櫟本で学校校舎もうまく使いながら、どんどん地域の皆さんが交流されていた、ああいった事業を事前に進めておくことによっても随分違ってくるだろうと思っているところでございます。 続きまして、業務改善の点でございます。職員の皆さんも日々非常に忙しい中頑張っていただいておりますので、なかなか仕事をしながら、いやこの書類はこんなふうにすぐ変えていけるんじゃないかということを議論するのが難しい点もあるのも事実でございます。なればこそ、今回デジタル化を導入していくに当たって、そもそもこれは必ず要ったんだったっけ、あるいはこことここをこういうふうに分けていないといけないのかという点をみんなでしっかりと再考していくいい機会になると思っておりまして、そういった視点からデジタル市役所には取り組んでいきたいと思います。 コミュニティバスについては、既に私ども、西部について、市の西側の皆さんは別に二階堂駅じゃなくても橿原本線に、結崎に出たほうがむしろ利便性は高いだろうということで乗り入れをやっている中で、郡山についても、特に通勤の皆さんなど一定の需要はあると思っております。なかなか一路線増やしますと百万の桁で済まないという部分も、経常経費でありますから、容易に増やしていくというのは、人数が何人乗れるかの費用対効果もあろうかと思いますけども、おっしゃっていただいた広域化については今後も不断の検討をしていきたいとは思っております。 最後に、イノシシ、鹿等鳥獣害対策についてもICTをしっかり活用していくのは非常に重要な点だと思っておりますので、私どもも積極的に取り入れられるように検討を進めていけたらと思います。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議長) 以上で本日の一般質問は終了いたしましたので、本日の会議はこれをもって散会し、明日午前十時より再開いたします。                      午後三時四分 散会...